<社説>3人目の閣僚更迭 国会で疑惑の徹底究明を

 異常事態だと言わざるを得ない。岸田文雄首相は政治資金問題が相次いで発覚した寺田稔総務相を更迭した。短期間で閣僚3人が辞任に追い込まれた。

 既に国会審議にも影響が出ている。与党は補正予算の成立を急ぐが、首相の任命責任がこれまでになく問われる事態となっている。国会で説明を尽くす必要がある。疑惑についても徹底的に調べるべきだ。
 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との接点が次々と判明した山際大志郎前経済再生担当相が事実上更迭されたのは10月24日、死刑執行に関する失言のあった葉梨康弘前法相の更迭が11月11日だった。1カ月弱で3人の閣僚が辞任、交代となった。
 寺田氏を巡っては自身の政治団体が事務所賃料を妻に支払っていたと10月に報じられて以降、問題が噴出し続けた。
 地元後援会の政治資金収支報告書の会計責任者が故人だったことも判明した。妻が代表を務める政治団体が源泉徴収をせずにスタッフへの報酬を支払ったとの脱税疑惑も取りざたされた。
 事務所賃料の問題は、寺田氏が代表を務める政党支部などが事務所を置くビルの一部を寺田氏の妻が所有しており、支払われている賃料が「裏金」に当たるのではないかとの報道だった。
 寺田氏は「何ら問題ない。価格も適正だ」と反論。会計責任者が故人だった問題については「チェックする立場にない」と責任はないとし、辞任も否定していた。
 一連の問題はあまりにもずさんである。まして寺田氏は政治資金や選挙を所管する総務相だった。昨年の衆院選で運動員の買収があったとも指摘されている。寺田氏の説明を待つのではなく、徹底して国会で調べるべきだ。
 岸田首相は当初、寺田氏に説明責任を果たすよう求めるだけで、事態収束にはなかなか動き出さなかった。問題が起きても続投させる首相の態度は先の山際、葉梨両氏の更迭に踏み切る前も同様だった。野党から激しい追及を受けてから辞めさせることを繰り返しており、決断力を欠いている。
 閣僚辞任のたびに聞かれる「任命責任」の言葉があまりにも軽く聞こえる。今回も岸田首相はその責任を「重く受け止める」と言及した。どのように果たそうとしているのか。更迭のみでは高まる国民の政治不信を拭うことはできない。
 臨時国会の会期は12月10日まで。第2次補正予算案や旧統一教会問題を巡る被害者救済の新法案の審議も控えるが、相次ぐ閣僚の辞任によって日程は行き詰まっている。
 寺田氏の更迭があり、21日の参院本会議が22日に延期されるなどさらに影響が出た。秋葉賢也復興相も「政治とカネ」を巡る問題が指摘されている。審議へのさらなる影響が予想されるが、徹底的に問題を究明してもらいたい。



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