<社説>コロナとインフル 迫る同時流行に危機感を


社会
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 新型コロナウイルスの新規感染者が5日、2366人となった。2千人超えは流行第7波の最中だった昨年9月3日以来、約4カ月ぶりである。6日の新規感染者数も2076人に上った。季節性インフルエンザ感染も拡大しており、流行注意報目前である。新型コロナとインフルの同時流行が迫っている。危機感をもって対策を急がなければならない。

 県は現時点で第8波の定義付けはしていないが、それが現実のものとなりつつある。例年、年末年始は感染が拡大する傾向にあり、今年も20~40代の活動的な世代で感染が広がっている。
 心配なのが、感染拡大のきっかけとなる地域行事が集中して開催されることだ。7~9日の3連休で多くの市町村が「二十歳のつどい」などの式典を予定している。3年ぶりに新年会や賀詞交換会を開く役所や経済団体も多い。
 玉城デニー知事が5日の記者会見でも呼び掛けていたが、検温や手指消毒、室内換気など基本的な感染対策を徹底してもらいたい。各種会合の主催者だけではなく、参加者も感染を避ける対策を心掛けてほしい。
 県内医療機関は昨年来、新型コロナと季節性インフルエンザの同時流行の可能性を指摘し、対策を呼び掛けてきた。ここに来てインフルエンザ患者が急増している。6日の県発表によると2022年第52週(12月26日~1月1日)の県内インフルエンザ定点報告数は9.89人で、前週の3.4倍に跳ね上がった。流行注意報発令(定点当たり10人以上)は目前である。
 このまま新型コロナとインフルエンザ感染者の増加が続けば医療現場の逼迫(ひっぱく)は避けられない。既に新型コロナ感染者の病床使用率、発熱コールセンターの入電数が増加している。一部医療機関では新型コロナとインフルの同時検査キットが一時的に不足した。
 今、インフルエンザ流行の大波が押し寄せると県民生活は再び混乱に陥る。入域観光客数の増加もあり、過去2年余、コロナに痛め付けられてきた県経済は回復基調にある。この流れにブレーキを掛けることにならないよう同時流行の混乱をできるだけ抑えなければならない。
 県民生活レベルでコロナ慣れが広がっているならば、改めるべきだ。県内で最初の新型コロナ感染者が確認され、2月で3年になる。当初の緊張感を取り戻しながら職場や事業所、学校現場などでの基本的な感染症対策の再構築に取り組みたい。ワクチン接種の加速も課題だ。水際対策の徹底も求められる。
 政府は今春にも新型コロナをインフルエンザと同等の「5類」に引き下げる方向で検討しているが、それ以前にやるべきことがある。県民生活や医療現場、県経済を守らなければならない。それは県民の実践にかかっていることを改めて確認したい。