<社説>新成人に贈る 足元を掘り下げてみよう

 新成人を迎えた皆さん、おめでとう。大人への仲間入りを果たし、新たな責任を感じる人もいれば、法改正で成人年齢が18歳に引き下げられたことから「大人とは何か」を模索する人もいるだろう。

 それぞれの考え方があって当然だが、節目に当たり共通することは「社会の一員として何をなすべきか」を追求していくことだ。
 これから先、進学や就職など行くべき道には多くの岐路がある。成人の日の節目に当たり、足元を掘り下げ、自らがよって立つ基盤を共に考えてみよう。自ら定める針路は迷った時、悩んだ時、あなたたちを導いてくれるはずだ。
 今年最大の変化は146年続いた「大人」の定義が変わったことだ。昨年施行の改正民法で成人年齢が引き下げられ、18歳から成人となった。
 18歳といえば、多くは受験の準備で忙しいことだろう。実感がない、という人も多いだろうが、可能性が広がったと考えてはどうだろう。
 18歳成人になり、携帯電話やクレジットカードなどは自ら契約できるようになった。判断力に自信がないという人もいるかもしれないが、そのために情報を見極める力を磨き、蓄えることもできる。デジタル機器や通信網が発達し、生活の一部として情報端末に触れてきた世代だからこそ、できることがあるはずだ。
 同時に成人年齢の引き下げで、公認会計士や司法書士、行政書士などの資格取得も可能になった。成人を新たな挑戦の機会と捉えてもいい。社会と関わる上で、自分の適性や可能性がどこにあるのか、改めて見つめ直すきっかけになるだろう。
 新たな責任も伴う。2016年から始まった18歳選挙権だ。今年の沖縄は選挙無風の年といわれる。考える時間がいくらでもある。投票行動を通じた社会参加について自らの意見を深めてほしい。
 選挙は民主主義の根幹をなす重要な権利だ。私たちの投じる1票が政治を変え、社会を変える。私たちの暮らす社会がどこに向かうのかは、一人一人の投票行動が決める。
 ただ残念ながら10代の投票行動は消極的といえる。県選挙管理委員会のまとめによると、19年参院選、20年の県議選で県内の10代の投票率は37%台と低い。20代も同様に低く30%台前半にとどまる。40代以降は50~60%台だ。
 若者の声は反映されないと諦めるか、1票によって社会をよくしたいと願うか。それぞれの判断だ。
 沖縄の未来は、若者の手の中にこそある。新成人の門出に当たり、それぞれの進む道をしっかり見つけてほしい。
 「沖縄学の父」といわれた伊波普猷が、ニーチェの言葉を訳した琉歌を新成人に贈る。
 深く掘れ(ふかくふり)
 己の胸中の泉(などぅぬ んにんちぅぬ いじゅん)
 余所たよて(ゆすたゆてぃ)
 水や汲まぬごとに(みじや くまぬぐとぅに)




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