<社説>教員の長時間労働 実態把握と改善が急務だ

 教員不足が深刻化している。常態化している長時間労働が背景にある。この問題はこれまでにも指摘されてきた。本来は労務管理で防ぐべきだが、現行の仕組みでは問題を解決することは難しい。直ちに必要な措置を取る必要がある。

 「生活を犠牲にしないとできない」。16日付からスタートした本紙連載「先生の心が折れたとき」の取材に応えた教師の言葉だ。
 多くの教員が自宅へ仕事を持ち帰る。1日の就業時間内には終わらせきれない業務量を抱えているからだ。
 長時間労働は心身を疲弊させる。2021年度、全国の公立校の精神疾患による病気休職者は過去最多。県内も過去10年間で最多の199人で、在職者数に占める割合は1.29%で、全国で最も高かった。
 タイムカードなどで管理しても長時間労働が抑制できないのは、仕組みの問題との指摘がある。公立学校の教員は勤務形態が特殊だとして、残業代を支払わず、教職調整額を支給すると教職員給与特別措置法(給特法)が規定している。
 働かせ放題だとの批判を受け、文部科学省は給特法見直しの検討作業にようやく着手した。ところが、財源との関わりで残業代の支払いは難しいとの見方が既に出ている。
 労働には正当な対価を支払うべきだ。それによってコスト意識が働けば、超勤抑制への効果が期待できる。不必要な事務の廃止など、教師の雑多な業務の見直しを現場で進めることにもつながる。
 聖域を設けず国民世論を喚起し、財源確保と併せ、法の見直しを推進するべきだ。
 沖縄でも教員確保に向けてさまざまな取り組みが始まっている。県教育委員会は23年度の選考試験から受験年齢の上限を現在の45歳から59歳まで引き上げる。
 教員免許を取得したが教職経験はない人、免許失効者ら向けにペーパーティーチャーセミナーも初めて開催する。門戸がより開かれたことを契機に、教職の魅力を再確認してもらいたい。
 年齢制限を緩和しても優秀な人材の確保は難しいとの懸念が現職教師から聞こえる。教員定数が変わらなければ増え続ける休職者の手当てにはならないとの指摘もある。
 行政は現場の声に耳を傾け、勤務実態の把握を急いでほしい。文科省は本年度、6年ぶりに教員の勤務実態を調査している。この春にもまとまる予定だ。県教委も独自に動き出してもらいたい。
 昨年の共同通信県民世論調査で、沖縄発展のため力を入れるべきこととして、最多の48%が「教育」を挙げた。島嶼(とうしょ)県の人材育成に県民は可能性を見いだしている。
 教員の負担の軽減には保護者や地域の理解、協力も欠かせない。県内の実態を明らかにし、問題の根源を突き止める必要がある。そして直ちに対策を取ってもらいたい。




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