<社説>教員働き方改革 文科省は抜本的対策急げ

 休職者が相次ぐ学校現場の業務改善に向けた一歩となる。教員が置かれた環境の実態把握と分析を踏まえた施策展開を期待したい。

 県教育委員会は2023年度の組織改革で「働き方改革推進課」を新設する。教職員のメンタルヘルス対策と働き方改革の強化・推進が目的だ。教員の精神疾患による休職者増などの課題に対応し、施策展開を図る。県教委の課の改変は約10年ぶりである
 まさに待たれていた組織の新設である。精神疾患による教員の休職者は全国的に増加傾向にあり、対策は急務だ。
 文科省も教員のメンタルヘルス対策を強化する。都道府県教委によるメンタルヘルス対策のモデル事業に関連した経費7千万円を23年度予算に計上した。しかし、地方任せで済ませてはならない。未来を担う子どもたちを育む学校現場の業務改善のため、文科省は国レベルの抜本的な対策を打ち出すべきだ。
 昨年12月に発表された文部科学省の人事行政状況調査によると、21年度に全国の公立小中高・特別支援学校で精神疾患を理由に休職した教員は過去最多の5897人であった。全教員に占める割合は0・64%である。沖縄も過去10年間で最多の199人。在職者数に占める割合は全国で最も高い1・29%だった。
 なぜ、これほど多くの教員が休職を余儀なくされているのか。文科省は新型コロナウイルス感染症対策で忙しくなり、教員間でコミュニケーションを取る機会が減ったことも影響したとみている。
 この3年間、全国の公立学校で学校現場がコロナ対応に追われた。文科省の指摘は納得できる。では、在職者数に占める休職者の割合で沖縄が最も高いのはなぜか。沖縄固有の課題があるのか。教員を取り巻く環境を探ることは、教員の働き方改革を進める上で不可欠である。
 休職者が相次ぐ学校現場の実情を取り上げた本紙連載「先生の心が折れたとき」は、就業時間内に終えることができない業務量を抱えて苦しむ教員の実情を浮き彫りにした。休職者の増加は他の教員の業務負担につながり、さらに休職者が出る連鎖が起きかねない状況にある。私たちは学校現場の窮状を深刻に受け止めなければならない。
 休職中の教員は「先生の業務は、全て子どもたちのためのもの。だから業務軽減を訴えると、子どもを思う気持ちが弱いと思われてしまうという雰囲気がある」と取材に答えている。このような雰囲気が学校現場にあるのならば、払拭する手だてが必要だ。教員を孤立させてはならない。
 働き方改革推進課について、半嶺満県教育長は「(精神疾患の)背景について、踏み込んだ調査研究による分析を検討する必要がある」と述べている。学校現場の生の声に耳を傾ける丁寧な調査を求めたい。働き方改革の推進には不可欠である。




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