<社説>国際女性デー 差別をなくす改革進めよ


社会
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 きょうは国際女性デー。女性の自由や平等について考える日だ。女性の社会進出は進むが、依然として差別や不当な扱いが横たわる。性差を超え、誰もが自分らしさを生かせる社会を実現するため、女性を取り巻く厳しい現状に向き合わなければならない。

 県庁と県内の市町村役場で働く会計年度任用職員約1万4千人の約8割(76.6%)が女性だ。一方、正規職員約1万6千人のうち、男性が6割を占めている。
 行財政改革で正規職員が減ったが、業務がなくなるわけではないので、非正規の会計年度任用職員が必要となる。25市町村で会計年度任用職員が正規職員を上回っている。
 会計年度任用職員の雇用形態は不安定である。正規職員に比べて会計年度任用職員の待遇は劣る。次年度も採用されるために面接や人事評価、公募が必要となる。再度任用に回数制限を設けている自治体もある。
 行財政改革が生んだ雇用構造である。非正規の女性職員は雇用調整の人員としてあてがわれているのなら問題だ。各市町村は「女性躍進」や「雇用の安定」を掲げて施策を展開している。それを雇用が不安定で正規職員よりも低賃金の女性たちが担っているのなら、その矛盾を看過してはならない。真に「女性躍進」を目指すのであれば、まず足元を見直す必要がある。
 会計年度任用職員の雇用形態を改め、待遇を改善すべきだ。同時に女性の正規職員を増やすべきである。そのためには家事や育児を男女双方で分担できるよう働き方改革を進める必要がある。そうすれば役所の姿は変わるはずだ。
 沖縄社会全体で改革を進めたい。上智大の三浦まり教授らでつくる「地域からジェンダー平等研究会」が各地域の男女平等度を政治、行政、教育、経済の4分野で分析した「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」によると、沖縄は経済が2年連続の1位、教育が9位と高順位だった。しかし、喜べるものではない。
 沖縄は女性社長が多い。男女間の賃金格差がないことも経済分野の平等度を押し上げている。これは男性も賃金が低い地域にある傾向だ。
 教育分野で大学進学率の男女比が6位だが、大学進学率が他県より低く、進学者が少ないとの課題もある。
 賃金格差など慎重に分析しなければならない項目もあるが、本年の「ジェンダー・ギャップ指数」で見れば沖縄は改善傾向にある。統一地方選の実施により、女性ゼロ議会の指標は昨年の45位から31位に上げた。女性の議会への進出が進めば、女性の視点からの議会活動が進み、女性に手厚い政策が実現することにつながるはずだ。
 各分野で女性が進出し、意思決定過程で発言することはより多様な社会をつくることに大きく寄与する。そのための環境整備を社会全体で取り組まなければならない。