<社説>政治資金規正法改正 政治信頼回復の道筋示せ


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<社説>政治資金規正法改正 政治信頼回復の道筋示せ
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 「政治とカネ」の問題が招いた深刻な政治不信を払拭しなければならない。その覚悟が問われている。

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、衆参両院は「政治改革に関する特別委員会」の設置を決議した。自民、公明両党は政治資金規正法の改正に向けた実務者協議を16日に初開催した。
 裏金事件が表面化して以降、国会などで議論が続いていた政治資金規正法改正に向けた具体的な作業が始まった。法改正の焦点は国会議員が連帯責任を負う連座制の導入だ。企業・団体献金廃止の是非、政策活動費の見直しも併せて論議することとなろう。岸田文雄首相は今国会中での法改正を明言している。
 政治の信頼回復に向けた道筋を付けるために、裏金事件の実態解明と議員の処分と並んで政治資金規正法の改正が不可欠である。国民が求めているのは法改正による政治資金の透明化と、連座制導入を含む議員の厳罰化である。
 与党内の協議、国会審議は国民の声を踏まえた法改正を断行しなければならない。自民は党独自の案をまとめないまま公明との協議に入ったが、問題を起こした党の姿勢として疑問だ。自民党には連座制導入に消極的な慎重論があるというが、国民世論から乖離(かいり)していると言わざるを得ない。中途半端な結果を導くならば、政治不信はさらに増幅しかねない。
 衆参両院は裏金問題の実態を解明するための政治倫理審査会を開き、派閥責任者から事情を聞いたが、真相解明には遠く及ばなかった。関係議員の処分も不十分だった。岸田首相を処分対象にせず、政治資金収支報告書への不記載額が500万円以下の議員を幹事長注意にとどめたことへの不満が根強い。
 共同通信が13~15日に実施した全国電話世論調査では、岸田首相が処分されなかったことに「納得できない」と答えた人は78.4%、安倍派、二階派の議員の処分が「軽い」と答えた人は65.5%に上った。裏金事件の実態が「十分解明されていない」との回答は93.3%に達した。岸田内閣の支持率も23.8%と低迷が続いている。
 裏金事件とその後の対処について国民は厳しい目を向けている。これで幕引きとはならないというのが国民の声だ。国会や与党間の政治資金規正法の改正論議もそのことを意識すべきである。
 衆院3補選が告示された。裏金事件への岸田内閣の対応が焦点となる。28日の投開票に向け、各党は政治の信頼回復に向けた姿勢を明確に示すべきである。政治資金規正法改正の具体策も有権者の前に提示してほしい。
 補選告示に当たって岸田首相は「政治の信頼回復に向け、政治資金規正法改正などの取り組みを訴える」と述べた。ならば、問題を起こした党として法改正案を示し、国民の審判を仰ぐべきである。