<社説>県議選まで1カ月 PFAS、教員で論戦を


<社説>県議選まで1カ月 PFAS、教員で論戦を
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 任期満了に伴う県議会議員選挙(6月7日告示、同16日投開票)まで16日で1カ月となった。本紙の調べでは定数48に対し、5月15日時点で72人が立候補を予定している。

 投票日に向け、立候補予定者は有権者の前に自らの政治姿勢や政策を明確に示してほしい。活発な政策論争を期待したい。そのことが有権者の関心を引き寄せ、投票率の向上につながる。
 昨日、沖縄の施政権返還(日本復帰)から52年を迎えた。政府の施策と沖縄の努力によって県民生活は向上した。しかし、在沖米軍基地から派生するさまざまな問題に県民は悩まされてきた。基地の存在自体が沖縄の自立的発展の障害となってきた。
 復帰後、県民の投票によって選ばれた8人の県知事は基地問題の解決と沖縄の経済自立という命題と向き合い、県政を運営してきた。同様に、復帰後13回実施された県議選でも基地と経済に絡む争点を軸に政策を論じ合った。
 今回の選挙も辺野古新基地建設をはじめ、米軍基地問題に対する立候補予定者のスタンスが問われる。同時に沖縄の経済自立、より豊かな県民生活の実現に向けた政策の提示を求められる。
 立候補予定者の政治姿勢、政策はおのずと政府による沖縄施策や県政に対する評価を伴うだろう。同時に施政権返還から50年余を経て顕在化した問題や矛盾に対する対処法を示すべきである。例えば有機フッ素化合物(PFAS)汚染や教員不足は待ったなしの問題だ。解決法を提示し、論戦に挑んでほしい。
 住宅地や県民の水源である河川でPFASが高濃度で検出されており、その汚染源は米軍基地にあると強く疑われている。しかし、日米地位協定を盾に米軍は基地内への立ち入り調査を拒んでいる。県が実施した調査では普天間飛行場周辺で国の暫定指針値の90倍という高濃度のPFOSとPFOAが検出された。
 県調査でPFASは全市町村で検出されている。県民の健康に関わる重大事であるにもかかわらず、政府の姿勢は及び腰である。この問題にどう対処するのか具体的な方策を提示してほしい。
 教員不足も深刻だ。県内公立学校の教職員の未配置数が4月時点で12人生じている。昨年同時期よりは改善されたが、本来は未配置があってはならない。教員の働き方改革が求められている。
 教員不足は全国の問題だ。中教審の特別部会がまとめた教員確保の提言は、公立学校教員の残業代に代わる「教職調整額」の増額を打ち出したが、教員確保につながるのか不透明だ。この問題を教育現場だけに任せるのではなく政治の場でも解決を模索しなければならない。立候補予定者は政策を示すべきだ。
 有権者は立候補予定者が描く沖縄の将来像を注視している。立候補予定者はそれに応えなければならない。