<社説>県議選きょう投開票 投票で沖縄の未来決める


<社説>県議選きょう投開票 投票で沖縄の未来決める
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 任期満了に伴う沖縄県議選は9日間の選挙戦を終え、きょう16日の投開票を迎えた。糸満市長選と市議補選、中城村長選も同日実施される。

 選挙は、有権者の意思を政治に反映させる大事な機会だ。今回は告示後に悪天候が続いたことで各候補者の街頭での活動に支障が出たほか、投票率への影響も懸念される。投票所に足を運び、より良い未来につながる選択を示してほしい。

 選挙後の与野党構成がどうなるかは県議選の最大の焦点だ。とりわけ米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡り、新基地建設反対を掲げる玉城デニー知事は、移設工事を推進する国と真っ向から対抗している。現在は辛うじて多数となっている与党の議席増減は玉城県政の評価に直結し、今後の県政運営のかじ取りを左右することになる。

 国との法廷闘争で敗訴が続く沖縄県だが、与党が引き続き多数となれば、新基地拒否の立場を堅持し、沖縄の負担軽減を政府に強く迫るよりどころを得る形となる。政府が推進する、南西諸島への自衛隊増強に対する異議申し立ての側面も持つだろう。

 野党・中立が過半数を占めて与野党勢力が逆転すれば、基地問題に限らず、県政の政策全般に修正や優先順位の見直しを求められる場面が増えることが予想される。玉城知事は野党・中立会派との対話、調整にこれまで以上に丁寧に応じる必要が出てくる。

 玉城県政2期目の中間評価として全国的にも選挙結果が注目されるゆえんだ。ただ、地方自治において知事と議会の関係は、それぞれが住民に直接選ばれた二元代表制だ。議会全体として行政執行が適正であるかを監視し、対等の機関として住民のための施策を形成していく。その関係は車の両輪に例えられる。

 基地問題のほかにも沖縄県は多くの課題に直面している。物価高騰が直撃する暮らしの改善に手を打つ必要がある。特に全国2倍の子どもの貧困率がある沖縄では、困窮世帯が生活苦に陥らない施策を講じることで、子どもたちの成長や学びの機会を保障することが肝心だ。

 貧困の連鎖を断ち切るためには全国最下位の県民所得の向上や経済自立の目標達成に向け、沖縄の成長戦略を描くことも重要だ。教育の担い手である教員の働き方改革、土壌・水質の有機フッ素化合物(PFAS)汚染といった環境対策など、取り組むべき課題や住民ニーズは幅広い。

 候補者の掲げる政策をしっかり吟味し、自身の考えに近い人に1票を投じてほしい。一人一人の投票行動は必ず沖縄の未来につながる。

 前回2020年の県議選はコロナ禍で制約を受ける中で実施され、投票率は46・96%と初めて50%を下回った。再び半数超の有権者が「白紙委任」となれば、議会制民主主義の在り方が問われてしまう。さあ、投票に行こう。