<社説>高江県道検問 市民の反対活動制限するな


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 警察権の乱用は明らかだ。市民の自由な活動を制限する不当な車両検問は直ちに中止すべきだ。

 ヘリパッド建設工事の再開が予定される米軍北部訓練場のゲート前で、警察による一斉検問が行われた。交通量は少なく、普段、検問が実施されている場所ではない。犯罪車両の逃走など緊急に検問が必要だったわけでもない。
 普段と異なるのは、工事に反対する県民が東村高江のゲート前に結集していたこと。それと対峙(たいじ)し、県警、全国から多数の機動隊員、防衛省職員が現場に投入されていることだ。
 高江区に向かう全車両を停車させ、行き先などを聞き運転免許証を提示させた。2カ所で50分も停車させられた女性もいた。高江の抗議行動への参加を足止めし、抗議行動を鈍らせる狙いを疑わせる。
 県警は「交通安全および秩序の維持」などを検問の理由に挙げた。交通安全を妨げているのは不必要な検問ではないか。昼日中、県道の車両通行を制限することこそ秩序に反する。工事反対の市民活動を秩序に反すると言いたいのか。
 ヘリパッドとは無関係に、畑に向かうなど日常生活の交通を足止めされた住民もいたはずだ。
 無秩序な警察活動は、県民の警察への信頼、協力関係を損ねることを県警は肝に銘じてほしい。
 問題は多い。車両検問は(1)犯罪発生時の緊急配備(2)交通違反の予防摘発(3)交通事故多発地域での一斉検問-の3類型があるが、小口幸人弁護士は最高裁判例にも照らし「要件を満たさない違法な検問」と断じている。
 もう1点。検問で運転免許証を提示させたことについても小口氏は「みだりに個人情報を収集するもの」とし、プライバシーの侵害を指摘している。
 北部訓練場「N4地区」ヘリパッド周辺の高江では6月の夜間の騒音発生回数が383回、2014年度の月平均の24倍にも激増している。オスプレイが飛来するヘリパッド建設により住民の平和的生存権、静穏な環境権が破壊されているのだ。
 住民にとっては死活問題だ。生命の安全、静かな生活環境を求める住民、県民の自由な反対活動は最大限、保障されねばならない。
 警察法2条、「憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用(らんよう)することがあってはならない」を警察はかみ締めるべきだ。