<社説>熱中症の増加 油断せず暑さ対策徹底を


<社説>熱中症の増加 油断せず暑さ対策徹底を
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 人体に危険を及ぼすほどの暑さが連日続いている。例年以上に熱中症対策を徹底することが求められている。自分の体を過信せず、こまめな対策を取りたい。

 県内では6月20日の梅雨明け前後から熱中症による救急搬送が増加している。7月1~7日までの1週間で181人が搬送された。この人数は前年の同時期と比べると約2・5倍である。6月には熱中症によるものとみられる死亡例が2件発生している。

 「過信は禁物」ということは発生場所からも言える。7月の第1週でみると屋外が16・5%に対して、最も多かったのは住居で45・8%だった。直射日光を浴びる屋外では警戒していても、屋内であれば大丈夫だと油断している可能性がある。

 厚生労働省は熱中症が疑われるときはすぐに119番通報することを推奨している。専門知識がないと熱中症の判断は難しく、対応によって重篤化させてしまうこともあるからだ。救急車を呼んでも到着まで服を脱がせて水を掛けるなど、急いで全身を冷やすことが大切だ。誤った対応として、一人で休ませるなど放置することを戒めている。

 手足がつる、吐き気などの症状やすぐに疲れる、イライラしているという状態も熱中症の疑いがある。家族や同僚らを守るためにも、とっさの症状に敏感でありたい。

 過去の統計で熱中症になった人の職種は建設業、製造業、警備業などで多い。水分や塩分の補給に加え、直射日光を避けたり、屋内では風の流れをつくったりと熱を体にこもらせない職場環境を心がけることも必要だ。

 水分摂取のほか、利尿作用のあるアルコールは仕事前日には控えめにすること、3食をしっかり食べることも予防につながる。

 暑さ指数(WBGT)を基に、熱中症警戒アラートが前日の午後5時ごろと当日の午前5時ごろに発表される。アラートの発表を見ながら、その日の作業を見直すことを毎日の決まり事とするなど、習慣化によって職場全体で防ぐことも意識したい。

 暑さに慣れる「暑熱順化」の知識も大切だ。熱中症患者は5月や6月のそれほど気温が高くない時期から現れ、7月~9月と次第に減る傾向にある。体を暑さに慣らすということも肝要なのだ。

 外での仕事に従事し始めたばかりの人、休み明けで暑い中での作業から離れていた人は警戒が必要だという。適度な運動や入浴の際に湯船につかって汗をかくことも、暑さに慣れるための効果がある。暮らしの中で取り入れたい。

 バッテリーによってファンを回し、涼をとることのできる作業服もある。さまざまな対策で暑さから体を守ろう。行楽地への外出が増える夏休み前だ。15日の海の日の祝日まで13日から3連休という方も多いだろう。万全の熱中症対策で暑さを乗り切ろう。