謝って済む話ではない。官僚の劣化が甚だしい。

 財務省の太田充理財局長は、国有地がごみの撤去費用を名目に約8億円値引きされ学校法人「森友学園」に売却された問題で、同省理財局職員が昨年2月に森友学園側にごみ撤去費に関して口裏合わせを依頼していたと明らかにし陳謝した。
 政府は国有地の売却経緯を「適正だった」と繰り返してきたが、国会答弁は虚偽だった可能性がある。森友問題では財務省の決裁文書改ざんも明らかになっている。
 安倍晋三首相は「決裁文書を精読しても、今までの説明が覆されるものではない」と開き直っている。首相は国会で、財務省の調査と大阪地検の捜査結果を踏まえ「政府としてけじめをつけていくのは当然だ。最終的な監督責任は私にある」と強調してきた。捜査結果を待つまでもなく、責任を取って退陣するしかない。それ以外に信頼回復の道はない。
 森友学園への国有地売却問題を巡り、昨年2月にごみの見積もりが過大だと野党が追及していた。太田理財局長は同じ時期に「理財局職員が森友側の弁護士に、撤去費が相当かかり、トラック何千台も走った気がするといった言い方をしてはどうか、との話をした」と認めた。官僚がうその説明をするよう求めたとは、国民への背信行為だ。
 8億円の値引きについて会計検査院が算定根拠が不十分で、慎重な検討を欠いていたとする報告をまとめている。なぜ異例の取引をしたのか。この土地で建設計画があった小学校の名誉校長に安倍首相夫人の昭恵氏が一時就任したこととの関連が追及された。決裁文書改ざんも同じ時期に始まっている。昭恵氏や複数の政治家に関する記述、学園側との交渉経緯の一部が削除されていた。
 当時の理財局長の佐川宣寿氏は証人喚問で「首相、夫人の影響があったとは考えていない」と主張した。ではなぜ決裁文書から昭恵氏の名前を削除したのか。そう問われても証言を拒んだ。今回の撤去費用の口裏合わせで疑惑はさらに深まった。
 文書改ざんが発覚してから1カ月以上過ぎたが、8億円の値引きの背景や、改ざんの指示系統など真相解明は進んでいない。国会が行政を監視する機能を発揮していないからだ。国会内に調査特別委員会を設置して真相を徹底究明するよう求める。
 この間、厚生労働省の裁量労働制の労働時間調査に不適切なデータや異常値があることが発覚した。「なくなった」と説明した労働時間などの調査データ原票も見つかった。陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報隠蔽(いんぺい)が明らかになり文民統制が機能していない。
 官僚の劣化は、安倍政権下で官邸の動向を忖度(そんたく)する空気が広がっているからだろう。国民を軽視するような政権は、国民に見放される。