<社説>日中韓首脳会談 3国も非核化実現に責任


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この記事を書いた人 琉球新報社

 安倍晋三首相と中国の李克強首相、韓国の文在寅大統領の日中韓首脳会談は、北朝鮮の完全な非核化に向けて連携することで一致した。

 北東アジアの平和と安定、とりわけ朝鮮半島の非核化による和平実現には、日中韓3カ国が連携することが不可欠である。協調して取り組むことが確認できたことを歓迎したい。
 3首脳は南北両首脳による「南北は完全な非核化を通して、核のない朝鮮半島を実現するという共通目標を確認した」とする板門店宣言を評価した。
 板門店宣言を評価することは、その共通目標の障害になりかねないものを全て排除する必要性を認めるということである。非核化の実現に大きな責任があることを深く認識し、着実に実行することを3首脳に求めたい。
 そもそも朝鮮半島の非核化は、北朝鮮だけが責任を負うべきものではない。北朝鮮に早期に核を放棄させるため、北朝鮮を強く刺激する米韓合同軍事演習などを廃止し、在韓米軍も完全撤退させる必要がある。米韓が積極的に取り組むことで、非核化は加速化しよう。
 3首脳が国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議の完全履行を和平の機運が高まるこの時期に、わざわざ確認したことは疑問である。態度を軟化させている北朝鮮を刺激しないか懸念せざるを得ない。
 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は「朝鮮半島全域の非核化」を主張し、非核化に合わせて段階的な制裁緩和や経済支援などの見返りが必要だとの姿勢を示している。それに対する3カ国首脳の答えが完全非核化の実現までは「圧力維持」と北朝鮮にあからさまに突きつけては、和平ムードに水を差しかねない。
 安倍首相は共同記者発表で「朝鮮半島の完全非核化と北東アジアの平和と安定に向けた機運を、北朝鮮の具体的行動につなげていかなければならない」と強調。「北朝鮮がどうすれば明るい未来を描けるのか、その道筋について率直に意見を交わした」とも述べた。
 日本は敗戦までの35年にわたり朝鮮半島を植民地支配した。その末の南北分断である。不安定な朝鮮半島情勢には日本も大きな責任がある。北朝鮮の明るい未来を積極的に後押しする責務が日本にあることを忘れてはならない。
 日中、日韓はこの間、良好な関係にはなかった。日中韓首脳会談の開催は2015年11月に韓国・ソウルで開催して以来、約2年半ぶり。来日は中国首脳が約7年ぶり、韓国大統領は約6年5カ月ぶりである。
 今回の首脳会談を契機に3カ国の関係改善を加速させ、厚い信頼関係の構築へとつなげたい。今後は相互訪問するシャトル外交を定例化し、3カ国間の課題解決や北東アジアの安定を目指し、各国が役割を発揮すべきである。