<社説>エネルギー基本計画 「脱炭素」に背を向けるな

 将来のエネルギー政策をどうするのか。国家の未来像を示さないまま、その場しのぎでお茶を濁したとしか言えない計画案が出てきた。

 経済産業省がまとめたエネルギー基本計画の素案だ。太陽光や風力など再生可能エネルギーの「主力電源化」を目指すと初めて明記しながら、その発電割合目標は変えない。原発の依存度を「可能な限り低減」とうたいながら、その割合を維持し「重要なベースロード電源」として残した。
 矛盾だらけの内容で、「脱炭素」という世界の流れにも背を向けている。夏の閣議決定までに科学的、国際的な視点を取り入れ、根底から見直すべきだ。
 エネルギー基本計画は中長期のエネルギー政策の指針で、おおむね3年ごとに見直している。
 今回は4年ぶりの改定で、2050年の長期目標も初めて見据えた。背景には、温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」で、50年までに温室効果ガスを8割削減するという日本の国際公約がある。
 しかし、今計画からは、その目標に向けた道筋と政府の本気度が見えてこない。
 最大の問題点は、原発頼みを続ける姿勢と、再生エネルギーへの及び腰だ。
 30年度の電源構成比率は3年前に決めた再生エネ22~24%、原発20~22%という目標に手を付けなかった。エネルギー環境の世界的な急速な変化に全く対応できていない。
 原発は11年の東京電力福島第1原発事故以来、事故処理や廃炉費用も含めると高コストな電源というのは明白だ。核燃料サイクルも破綻している。建設コストも急騰し、世界の専門家には既に価格競争力を失ったとの認識が強い。
 全原発閉鎖のドイツをはじめ、韓国や台湾、スイスも脱原発を政策として決めた。原発はもう時代遅れなのだ。
 現在再稼働している原発は8基で、発電割合は2%でしかない。20%台にするには約30基の再稼働が必要だ。新増設か、廃炉期間40年の延長かだが、いずれも現実的ではない。脱原発を求める世論は根強い。政策転換は急務だ。
 再生エネルギーの推進に消極的な政府の姿勢も透けて見える。再生エネ比率は今でも約15%まで伸びてきているが、「主力化」を打ち出すなら、もっと高めるべきだ。
 ここ数年、再生エネルギーのコストは劇的に下がり、新興国など各国で飛躍的に普及が進んでいる。
 再生エネルギー関連産業で働く世界の従業者数は、17年に1千万人の大台を超えた(国際機関調べ)。一方、日本は2年連続で減少した。
 再生エネ事業者への送電線開放が不十分なのも一因だ。後ろ向きの政策が産業の成長を阻んでいる。経済活性化の観点からも政策面での後押しが必要である。
 世界はいち早く「脱炭素社会」へかじを切っている。日本も目を覚ますべきだ。