<社説>米軍属女性殺人補償 抜本的解決策の確立急げ

 あまりにも時間がかかりすぎている。一日も早く被害者遺族に補償すべきだ。

 2016年4月に起きた米軍属女性暴行殺人事件で、特例措置での遺族補償を日米間で検討している。米側が補償金を支払った上で、その額が裁判所の確定判決に満たない場合、日本政府が見舞金として補てんする内容である。
 那覇地裁はことし1月、被告に遺族への賠償金支払いを命じる決定を下し、2月に確定した。だが補償問題は、米側の無責任な姿勢が要因で宙に浮いている。
 地位協定の規定では、米軍関係者による公務外の事件・事故について当事者間での解決が困難な場合は、米側が補償する。だが米側は、被告が米軍と契約する民間会社に雇われた「間接雇用」を理由に補償対象外としている。
 地位協定上は、米政府の直接雇用ではない民間の間接雇用者も軍属として扱われる。日米両政府が事件後の17年1月に締結した軍属の「補足協定」も同様だ。
 直接雇用、間接雇用に関係なく、軍属として扱われる権利を認める一方、米側は特権と表裏一体の賠償責任は、間接雇用を理由に逃れている。特例措置は義務ではなく、あくまでも善意に基づく対応とする姿勢は許されない。
 日本政府は間接雇用も補償対象になるとしている。日米で見解が食い違っているのは、地位協定に重大な欠陥があることの証しである。
 「協定」とは取り決めであり、答えは一つしかない。とりわけ責任の所在や賠償などに絡むことであれば、解釈する必要などないまでに徹底的に協議し、条文を練り上げていなければならない。本来、恣意(しい)的に解釈できることなどあってはならない。
 米側が都合よく解釈できるものを「協定」として日本政府も認めていることは、国民に対する裏切り以外の何ものでもない。
 国民よりも米軍人・軍属を最優先に扱う地位協定はこの間、多くの弊害をまき散らし、国民を苦しめてきた。米軍関係者が起こした事件・事故で補償が十分に講じられず、泣き寝入りを強いられた被害者や遺族は多い。
 日本政府が地位協定の改定に乗り出さないならば、廃棄することを強く求める。
 1995年の米兵による少女乱暴事件をきっかけに、米側の補償が不足した場合は、日本政府が穴埋めする「SACO基金」が創設された。だが、見舞金の支払いはわずか13件しかない。
 そもそも被害を与えた責任を持つべき米側が、日本の裁判所が確定した賠償金を満額払わずに、日本側が肩代わりすること自体、理不尽だ。
 米軍属女性暴行殺人事件を受けて、在沖米四軍調整官は再発防止に取り組むと確約したが、事件・事故は後を絶たない。被害者や家族が二重に苦しまないよう、抜本的な解決策を早急に確立すべきだ。