<社説>受動喫煙対策 例外認めない法改正を

 東京都で罰則付きの受動喫煙防止条例が成立した。国会で審議中の健康増進法改正案よりも規制が厳しい。2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、主体的に対策を打ち出したことは評価できる。例外規定が多い国の改正案では受動喫煙を防ぐ国際水準には程遠いからだ。

 都の条例は働く人や子どもを受動喫煙から守ることに主眼を置き、国の法改正案に上乗せする形で規制を加えた。従業員を雇う飲食店は原則として屋内禁煙とし、喫煙専用室の中でのみ喫煙を認める。違反すれば5万円以下の過料が科される。
 病院や大学、行政機関は敷地内禁煙とする。子どもが出入りする保育園や幼稚園、小中高校は屋外の喫煙場所の設置も認めない。ラグビーワールドカップがある19年9月までに学校や病院の敷地内禁煙などを先行させ、20年4月から全面施行する。
 一方、国の改正案は客席面積100平方メートル以下で資本金5千万円以下の既存飲食店で喫煙を認めた。その結果、規制の対象は全国の飲食店の45%にとどまる。自民党内の強い反対論の結果だ。
 背景には「客足が遠のき売り上げが減る」と懸念した飲食業界などの反発があった。しかし禁煙を徹底すれば、たばこの煙を嫌って来店を控えていた客が飲食店に足を向けるようになるかもしれない。一概に打撃を受けるとはいえないのではないか。
 都の条例が学校などで屋外に喫煙場所を設けることも認めないのに対し、国の改正案は屋外などの分煙は規制していない。しかし完全禁煙でなければ受動喫煙は防げない。国民の健康を守るという法の趣旨から遠ざかる。
 今月、本紙も加盟する日本世論調査会が行った世論調査で、受動喫煙対策を「進めるべきだ」とした人は84%に達し、反対派は14%にとどまった。
 国の改正法で100平方メートル以下の飲食店での喫煙が認められることには「すべての飲食店を禁煙にすべきだ」「面積を狭くして喫煙できる店を減らすべきだ」との回答が合わせて56%となった。過半数が国の改正案を不十分と捉えていた。
 五輪があろうがなかろうが、受動喫煙対策は国民の健康を守る上で欠かせない。最初から、他人の健康を害してもいいと考える喫煙者はいないだろう。
 受動喫煙はがんや脳卒中、乳幼児突然死(SIDS)などとの関連が指摘されている。毎年1万5千人が死亡しているとの推計もある。
 飲食店など公共の場での全面禁煙を義務付けている国は55カ国ある。日本は「たばこ対策の後進国」と言われ、国際オリンピック委員会と世界保健機関(WHO)から「たばこのない五輪」の実現を求められている。
 国の改正案では国民の健康は守れない。例外のない受動喫煙対策を強く望む。