<社説>観光収入過去最高 県民視点に立った振興を

 2017年度の県観光収入が6979億2400万円となり、5年連続で過去最高を更新した。入域観光客数が957万9900人と過去最高だったことに起因する。一方で観光客1人当たりの県内消費額は7万2853円で、2年連続で前年を下回った。

 観光で沖縄を訪れる人は多くなっているが、一人一人が使うお金は減少している。観光振興上、由々しき状況だ。構造転換を図る必要がある。
 1人当たりの消費額が減少している理由は、平均滞在日数の減少と外国海路客の増加だ。平均滞在日数は3・68日で、前年より微減した。滞在日数が少なくなれば、消費するお金が減るのは当然だ。
 入域観光客数はハワイを超えた。しかしハワイの17年の平均滞在日数は8・95日で、沖縄の2倍以上だ。1日当たりの平均消費額は沖縄もハワイも約2万円と変わらない。滞在日数が消費額を増加させる鍵を握っていることが分かる。
 外国海路客はクルーズ船で来県するため、宿泊施設を利用しない。このため1人当たりの県内消費額が低くなる。航空機で来る外国空路客が10万265円で前年より額が増えているのに対し、外国海路客は2万9861円と3分の1以下だ。しかも前年より額が3795円も減っている。
 外国海路客が前年の1・5倍となる105万人まで増加していることは喜ばしい。今後は海路客が沖縄観光で何を求めているのかを的確につかみ、消費増を進める必要がある。
 県は第5次県観光振興基本計画で、21年に入域観光客数を1200万人、観光収入を1・1兆円、1人当たり消費額を9・3万円、平均滞在日数を4・5日まで引き上げることを目標に掲げている。
 県は目標達成のため、国内市場に対しては既存の顧客の再訪を進め、きめ細かい市場調査で新しい客層の確保を目指している。海外市場では東アジアの需要を確保しながら、東南アジアと欧米豪露などへの市場開拓を加速させる考えだ。長期滞在型のリゾート需要を増加させて滞在日数を延伸し、富裕層を獲得して消費額の増加につなげたい。
 基本計画では「世界最高水準の観光リゾート地」を目指している。そのために欠かせないのが、持続可能な観光リゾート地の形成という視点だ。観光客に足を運ばせている沖縄の最大の魅力は、日本の他地域にはない青く澄んだ海などの豊かな自然環境だ。
 2017年度の観光統計実態調査では、沖縄旅行の満足度で、他項目より満足度が高い傾向にある「海の美しさ」と「景観」が前年度よりも低下している。自然環境の保護に力を入れる必要がある。
 忘れてならないのは、観光によって県民が社会的にも経済的にも最大限の利益を享受することだ。観光客の視点に加え、県民の視点にも立った観光振興を進めたい。