<社説>名護市議選と新基地 民意の大勢は移設反対だ

 米軍普天間飛行場の移設先とされる名護市の市議会議員選挙(定数26)は、開票の結果、渡具知武豊市長を支える与党が半数を占め、野党を1議席上回った。

 現在の議会勢力は与党13人、野党14人の少数与党だ。今回の選挙から定数が1議席減り、与党13人、野党12人、中立1人となった。定数1減の中で与党は現状を維持し野党は1人減らした。
 全国的にも注目されたが、肝心の投票率は前回を5・36ポイント下回る65・04%にとどまり、記録のある1970年以降で最も低かった。
 辺野古新基地建設問題と地域振興のはざまで揺れ動く市民の思いが選挙結果に表れたと言っていい。
 2月に初当選した渡具知市長に対し、有権者から一定の評価が下された。だが、野党と中立を含めると与党と同数であり、渡具知市長が自身の政策を思い切って実行できる態勢とはいえない。
 辺野古移設を巡っては、反対する議員が賛成を大きく上回り、過半数を占めている。市長はそのことを念頭に置いて市政を運営すべきだ。
 琉球新報が実施した立候補予定者アンケートで移設反対と答えたのは17人で、このうち、与党の公明を含む15人が当選した。賛成と答えた人は7人中5人が当選している。賛成5人、反対15人、その他6人という内訳になる。
 政府サイドは、与党が野党を上回った結果をもって移設容認の民意が示されたと喧伝(けんでん)したいかもしれない。それは、こじつけというものだ。
 与党系の候補者で新基地賛成を表明して選挙戦に臨んだのは一部にすぎなかった。大半が「推移を見守る」などと態度を保留している。市長を支持する公明の2人は反対する立場だ。
 示された民意の大勢は容認ではなく移設反対だった。政府は市民の意向を尊重し、新基地建設を断念すべきだ。
 名護市長選で渡具知市長は、新基地建設を推進する安倍政権の支援を受けた。だが選挙戦では賛否を明らかにせず、問題を解決するために国と対話する姿勢を示した。
 就任後は、受給の再開が決まった米軍再編交付金を財源として、給食費や保育の無償化を進めている。移設を事実上容認する立場だ。
 再編交付金は米軍再編推進法に基づき再編事業の進捗(しんちょく)の度合いや負担の重さなどに応じて地方自治体に支給される交付金だ。移設反対を堅持した稲嶺進前市長の在任時には打ち切られた。
 国策を円滑に遂行するため自治体を「基地依存症」に陥らせる仕組みと言っていい。本来、このようなよこしまな狙いがある財源に頼らない体質の確立こそ、自治体には求められる。
 今回選ばれた人たちは、自身に託された思いを真摯(しんし)に受け止めながら、議員の職責を深く自覚し、市民のために全力で取り組んでほしい。