<社説>ふるさと納税見直し 制度の原点思い起こして

 ふるさと納税制度が見直されることになった。一部の自治体が高額な返礼品を用意して寄付を集めているからだ。大都市の税収を財源の乏しい地方に移し、地域活性化を図るという本来の趣旨を再確認する必要がある。ふるさと納税の目的は返礼品ではない。

 ふるさと納税は、応援したい都道府県や市区町村に寄付すると、自己負担の2千円を除いた額が所得税、住民税から減額される制度だ。2008年に創設された。寄付のお礼として農産物などを贈る自治体が多い。地方の自治体にとっては、有用で価値の高い仕組みだ。
 減額される寄付額の上限が15年に拡大されてから、活用する人が増える。「返礼品競争」が目立つようになった。中にはハワイの宿泊券や海外製品などを贈った例もある。
 これでは、ふるさとの発展を願う気持ちとは無関係に、損得勘定だけで寄付をするケースが増えてしまう。「通信販売みたいだ」とやゆされても仕方がない。
 とはいえ、現在は返礼品の有無などに関して法令上の規定はない。高額な返礼品も禁止されておらず、制度設計に不備があった。
 地方にある自治体の財政状況は総じて厳しい。1円でも多く収入を増やそうと、日々、知恵を絞っている。その手段の一つとして、ふるさと納税を最大限活用しようと考えるのは至って自然な流れだ。
 高額な返礼品の提供も財源確保のためであり、単純に非難するのは早計だろう。もともと、自治体側の自主性を尊重し競争を促す制度だったはずだ。
 一方で、寄付をした人が住む自治体は税収が減る。都道府県別に見ると、17年度に寄付獲得額が減収額を上回り「黒字」となったのは沖縄を含む35道県。東京、愛知など都市部を中心とする12都府県は「赤字」となっている。
 返礼品を呼び水とする手法に対し、都市部の自治体が「税収を奪われた」と苦々しく思うのも自然な反応だ。
 総務省は昨年4月と今年4月に、高額であったり地元産でなかったりする返礼品を自粛するよう大臣通知で要請している。残念ながらそれでも応じない自治体があった。
 このため法改正によって、返礼品を寄付額の30%以下の地場産品に限定し、違反した自治体は制度から除外して税の優遇措置を受けられなくするという。そうなると、産業構造が脆弱(ぜいじゃく)な自治体には寄付が集まらないのではないか。「地場産品」の定義は一定程度、緩やかにすべきだ。
 西日本豪雨や北海道の地震などの被災地には、ふるさと納税による寄付の申し込みが相次いだ。見返りを求めず、純粋な思いから制度を利用する事例も少なくない。
 寄付をする人も、制度を活用する自治体も、地域の活性化に寄与するという制度の原点をいま一度思い起こし、地方の発展につなげてほしい。



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