<社説>バス速度超過問題 危険な運転は許されない

 公共交通として安心安全が前提であるべき路線バスで、速度超過や急ブレーキなど危険な運転を繰り返していることが、本紙の取材で明らかになった。取材したある日は制限速度を30キロも超過するスピードを2度計測し、急ブレーキが何度もあった。大事故につながりかねない状態だ。

 会社側は「速度超過は運転手個人の性格の問題だ」と説明しているが、本当にそうだろうか。運行時刻表(ダイヤ)の所要時間が短く、間に合わせるためにスピードを上げざるを得ないという事情があるようだ。さらに運転手の不足がある。バス会社はダイヤを見直し、安全に運行できる体制を整えねばならない。
 問題が明らかになったのは、本紙が今月から始めた「あなたの疑問に応えます りゅうちゃんねる」に寄せられた情報だった。「本島東海岸を走る路線バスが速度超過を繰り返し、乗っていて危ないと感じた」というものだった。
 実際に記者が日を変えて3回乗車したところ、そのうちの1回は東海岸の国道329号の制限速度50キロの場所で2度、80キロ超の速度を出した。停留所に止まるたびに急ブレーキをかけ、床に置いた荷物が倒れた。乗客が「安心して乗れない」と苦情を言うのも目撃した。あまりにも危険だ。
 無理なダイヤ編成に起因しているとしか思えない。那覇―名護間で記者が制限速度を守り、バス停に停車せずに走った所要時間は約2時間45分。同路線のダイヤは2時間52分で、停車時間、乗客の昇降時間を考慮すれば無理があるのは明らかだ。運転手からすれば、中南部の渋滞で遅れた分を比較的道路がすいている場所で取り戻すしかないのだ。
 深刻な運転手不足も拍車を掛けている。県内のあるバス会社の社長は取材に「この5、6年で運転手が25%減少した」と吐露している。規制緩和で増加した観光バス会社に運転手が引き抜かれ、不足気味の中で路線バスの運転手を回さねばならないからだ。だからといって危険運行が許されていいはずがない。
 公共交通の安全確保には行政の関与も必要だ。赤字のバス路線には、運行経費の45%を上限に国と県が2分の1ずつ補助金を出している。さらに沿線の市町村が補助を追加する仕組みもあり、2016年度では40路線に国、県、市町村が計3億9515万円をつぎ込んでいる。
 さらに県は渋滞解消を狙い、「わったーバス党」の取り組みでバス利用増を図っている。路線バスの安全確保は必須だ。
 新バスターミナルの開業で10月以降、ダイヤも変わる。これを契機に路線バスが安定して安全に運行できるよう官民一体となって改善に取り組まなければならない。県民の足としての自覚を持ってほしい。