<社説>「基地本土移転」採択 全国の全自治体で議論を

 東京都小金井市議会が、普天間飛行場代替施設の必要性を全国で議論し、必要なら沖縄以外に建設地を決めるよう求める陳情を採択した。自分の地域が候補になるかもしれないことを前提に、公正かつ民主的な手続きで問題を解決しようという意思表示だ。この取り組みが全国に広がることを期待する。

 陳情は、ことし5月に出版された「沖縄発 新しい提案―辺野古新基地を止める民主主義の実践」(新しい提案実行委員会編)で示された4項目を盛り込んだ。
 昨年4月に沖縄国際大で開かれたシンポジウム「県外移設を再確認する―辺野古新基地建設を止めるもう一つの取り組み」で議論され提言された。
 この4項目は(1)辺野古新基地建設工事を直ちに中止し、普天間飛行場を運用停止にする(2)米軍普天間飛行場の移設先について、沖縄以外の全国の全ての自治体を等しく候補地とする(3)その際、基地が必要か否か、日本国内に必要か否かも含めて、当事者意識を持った国民的議論を行う―とうたう。続いて次のように求めている。
 「国民的議論において普天間飛行場の移設先が国内に必要だという結論になるのなら、その移設先については、民主主義および憲法の精神にのっとり、一地域への一方的な押し付けとならないよう、公正で民主的な手続きにより決定すること」
 当然、軍事的理由ではなく政治的理由で沖縄に基地が集中しているという認識が前提になっている。これは政府当事者の発言などで何度も裏付けられている。
 ことし2月には、安倍晋三首相が国会で県外への基地移転が進まない理由を問われて「移設先となる本土の理解が得られない」と答弁した。最近も石破茂元防衛相が「反米基地運動が燃え盛ることを恐れた日本と米国が、当時まだ米国の施政下にあった沖縄に多くの海兵隊部隊を移したからだ」と自身のホームページで述べた。
 政治的理由による沖縄への基地集中は「差別」だという沖縄の訴えに呼応して、「基地引き取り」運動が各地で立ち上がっている。世論の多数が米軍基地を必要とするなら、沖縄への差別をやめるために自らの地域で引き受けようという「正義」と「責任」の自覚に基づく運動だ。
 そして今回、基地と直接関係のない小金井市議会で「公正」「民主主義」を強調する陳情が採択されたことは、さらに大きなステップとなる。
 反戦・反基地のイデオロギーとは距離を置き、日米安保条約や在日米軍基地を認める人からも賛同を得られる可能性のある取り組みだからだ。しかも、住民を代表する議会の意思表示である。
 党派を超えて、理性と論理で沖縄の基地問題を解決しようという議論が、全ての自治体に広がるよう促したい。