<社説>観光産業の人材確保 働く環境の改善が急務だ

 県の発表によると、消費額などから算出した2017年度の旅行・観光の経済波及効果は1兆1699億8500万円で過去最高となった。15年度の前回調査に比べて14・2%増えている。

 国内外から沖縄を訪れる観光客が増え、観光と関わりの深い宿泊業や飲食店を中心に大きな経済効果が生まれた。
 17年度の入域観光客数は957万9900人。沖縄の豊かな観光資源は高く評価されている。だからといって喜んでばかりもいられない。観光業界の人手不足が深刻化しつつあるからだ。
 沖縄が観光立県として飛躍していくには、誰もがそこで働きたいと思うような環境を整えることが欠かせない。
 現実はどうか。県が7月に発表した観光に関する県民意識調査によると、未就業者のうち観光産業で「働きたくない」「あまり働きたくない」と答えた人が合わせて47・2%に上る。観光産業に対しては「休みが取りにくい」「労働時間が長そう」といったマイナスイメージが目立った。
 沖縄経済を支える観光産業の重要性は理解しつつも、自身が働く分野としては敬遠していることがうかがえる。
 県が25日に発表した17年度県観光産業実態調査では「ほぼ全職種において長期で働く社員が不足している」「新卒採用の応募者が少なく十分に選考できない」「スタッフの定着率が悪い」「正規社員のなり手がいない」「急激な産業の拡大で管理職が育つのを待つ時間がない」といった課題が浮かび上がった。
 観光振興を図る上で大切なのは県民のホスピタリティー(もてなし)だ。休暇を楽しむ観光客を、休日返上で働く人たちがもてなす構図があるとすれば、決して正常な姿ではない。受け入れる側が疲弊していては、沖縄観光の好調も長続きしないだろう。
 まずは、宿泊業、飲食業、レンタカー業などを含め観光関連事業で働く人たちの待遇を改善することだ。
 それによって、観光産業の担い手としての誇りが生まれ、ホスピタリティーの質が一層高まるだろう。
 休みが取りにくく労働時間が長いという悪いイメージを払拭(ふっしょく)できれば、人手不足はおのずと解消されるはずだ。
 そのためには、経営者の意識を変えなければならない。収益力を高める手腕も問われてくる。
 労働条件や福利厚生の面で不十分な点があれば改めるよう努力すべきだ。雇用環境の整備については、行政側の支援も必要になろう。
 青い海、澄んだ空気、温暖な気候、豊かな自然、育まれた歴史…。沖縄には、訪れる人を引き付けてやまない魅力がある。そこに、洗練されたもてなしのプロが加われば、申し分ない。
 多くの優秀な人材が観光関連産業に集積することで、リーディング産業としての持続的な発展が期待できる。