<社説>知事選きょう投開票 沖縄の意思を票に託そう


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 第13回県知事選挙がきょう30日、投開票される。沖縄の自治の方向性を決定付ける重要な選挙だ。自らの代表を決める機会を決して放棄することなく、必ず1票を投じてほしい。

 今年は沖縄で主席公選が実施されてから50年の節目に当たる。1968年11月、行政主席を住民が投票して決める直接選挙が初めて実施された。
 米統治下にあった沖縄ではそれまで、全住民の代表を直接選ぶことさえ認められていなかった。主席公選は自治権拡大を求める住民が勝ち取った大切な権利だ。米国に封じられていた自己決定権を住民側に取り戻し、その後、県知事選として引き継がれ、現在に至っている。
 今回の選挙は前宜野湾市長の佐喜真淳氏(54)と前衆院議員の玉城デニー氏(58)による事実上の一騎打ちとなる。最大の争点は米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設の是非だ。
 28日の最後の訴えで佐喜真氏は「普天間飛行場は22年前の返還合意が原点だ。新たな未来のため普天間飛行場の一日も早い返還を目指してきた。基地整理縮小は県民の悲願だ」と述べた。新基地建設には言及しなかった。
 28日の最後の訴えで玉城氏は「これ以上新たな米軍基地は必要ない。翁長知事と辺野古新基地建設を認めず体を張ってでも止めようと固く誓い合った。普天間の原点は戦争で奪われた土地を返すことだ」と述べた。
 どちらが当選しても、新知事は就任後、すぐに新基地建設の重要局面と向き合わなければならない。県が8月31日に前知事による埋め立て承認を撤回したからだ。
 国は停止している工事を再開させるため、裁判所に撤回の取り消しを求め提訴し、判決を待たずに撤回の効力を止める執行停止を申し立てる可能性がある。こうした動きに対して、新知事はすぐに判断を迫られる。新基地建設に対する姿勢をあいまいにしたまま県政を担うことは許されない。
 琉球新報社が共同通信社と合同実施した世論調査では、6割が県の承認撤回を支持した。県民の間に新基地建設を阻止したい意思が根強いことが分かっている。こうした民意も踏まえる必要があろう。
 来年2月には政府が約束した普天間飛行場の「5年以内運用停止」の期限を迎える。政府は現時点でも具体策を示していない。宜野湾市では知事選と同日に市長選が実施される。立候補者2人の公約を踏まえ、市長にふさわしいと思える人を選んでほしい。
 今回の知事選は選挙権年齢が18歳以上に引き下げられてから初の選挙となる。これからの沖縄を担う若い世代の多くの人にも投票所へ足を運んでいただきたい。
 沖縄の意思を明確にする選挙だ。主権者たる県民の思いを1票に託したい。