<社説>産業まつり開幕 県産品の良さ実感したい


社会
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 第42回沖縄の産業まつりが19日から21日まで那覇市の奥武山公園と県立武道館で開催される。今回のテーマは「うちなー発 世界へとどけ 県産品」だ。沖縄でつくられた優れた製品・生産物にじかに触れ、その良さを実感したい。

 昨年は台風の接近で中止になっただけに、待ち焦がれていた人も多かっただろう。今回は502の企業・団体が出展する予定だ。数々の新製品が披露される。
 1975年の沖縄国際海洋博覧会の後、沖縄は不況に見舞われた。県経済の活性化を図るため、平良幸市知事(当時)が提唱し77年に初めて産業まつりが開催される。
 当時の琉球新報は、まつりの意義の大きさを強調した上で「有望産業については、本土市場への出荷をどうしても展望に入れなくてはなるまい」と社説で主張している。
 まつりの規模はその頃とは比較にならないほど拡大した。今や全産業を網羅した総合産業展として位置付けられる。企業の不断の努力によって県産品の品質が向上し、市場は県内外に広がってきた。
 「産業まつりに向けて出展者が製品に磨きをかけたり、新たな製品を開発したりしている。その中で技術が向上して、プラスの影響が出ている」とまつり実行委員会の呉屋守章会長(県工業連合会会長)が指摘するように、産業まつりそのものが、県産品のレベルアップに貢献してきた。
 近年、魅力的な県産品が増えている。時代のニーズに合った製品づくりに腐心しているからだろう。
 廃棄自動車のシートベルトを再利用して作られたバッグも出展される。リサイクル業者、環境関連資材業者と障がい者就労支援センターが共同で取り組んでいる。丈夫なシートベルトに着目したユニークな発想だ。
 このほか、最優秀優良県産品賞に選ばれた御菓子御殿の「黒糖ショコラとろ~る」、あざみ屋の「3Wayトート黒ヒチガーラ」(トートバッグ)、かりゆし三線館の「ハイブリッド楽楽カラクイ三線」をはじめ、県が推奨する優れた県産品が紹介される。新エネルギー産業展、商工会特産品フェア「ありんくりん市」や市町村コーナーなど、見どころが多い。
 多くの人が沖縄でつくられた物を購入すれば製造業が活性化する。雇用が増えて県経済の底上げが図られ、景気浮揚につながる。観光や農林水産業を含め、波及効果は計り知れない。
 そのためには誰もが欲しがる優れた製品を供給し続けることが不可欠だ。消費者のニーズを的確にとらえ、創意工夫を怠らず、品質管理を徹底するとともに、販路を拡大しなければならない。いま一層の努力が求められる。
 産業まつりの意義の大きさは今更指摘するまでもない。会場に足を運ぶことで県産品に対する認識を新たにするだろう。