<社説>城間那覇市長再選 笑顔が輝く県都を築いて


社会
この記事を書いた人 琉球新報社

 任期満了に伴う那覇市長選挙は、現職の城間幹子氏(67)が自民党などの推薦を受けた翁長政俊氏(69)を大差で下して再選を果たした。32万余の市民のリーダーとして、公約に掲げた「笑顔かがやく那覇づくり」に邁進(まいしん)してほしい。

 城間市政の4年間を振り返ると、特に大きな失点はなかったと言えよう。認可保育園を増やして待機児童数を7割削減したこと、県内で初めてパートナーシップ登録制度を導入したことなど、評価すべき点は少なくない。
 勝因の一つとして特筆すべきなのは、城間氏が米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設に対し、明確に反対を表明して選挙戦に臨んだことだ。
 米軍基地の過重な負担は沖縄県民全体に関わる重要課題である。県都の首長には、基地問題と真正面から向き合い、行動する姿勢が求められる。「われ関せず」と傍観することは許されない。
 城間氏は「県経済の自立の阻害要因でしかない新たな米軍基地の建設に反対する」と明快に主張した。
 これに対し、翁長氏は「(県と国とで予想される)裁判闘争の行方をしっかりと注視していきたい」と述べるにとどまり、賛否を明らかにしなかった。支持が広がらなかった一因であろう。
 先の知事選の那覇市での得票を見ても、新基地建設反対を掲げた玉城デニー氏が対立候補に大差をつけている。玉城知事を支えた枠組みは、市長選でもそのまま機能した。
 有権者は1期4年の城間市政を評価し信任した。一方で、「玉城知事と力を合わせて、平和で誇りある豊かな那覇・沖縄をつくる」という訴えが多くの市民の共感を集めたことも確かであろう。
 健康増進、福祉向上、子育て支援、雇用拡大、観光振興…。県都・那覇市には課題が山積している。より良い市政を目指す上で必要なのは対話だ。市長と市民が意見交換する機会をできるだけ増やしてはどうか。
 例えば、那覇市の久茂地小学校跡地に建設する新文化芸術発信拠点施設(新市民会館)を巡っては、開館後、周辺で交通渋滞を来すのではないかと懸念する声があった。
 市民の疑問や不安に真剣に耳を傾け、解決策を追求する姿勢を忘れてはならない。
 城間氏は、医療費窓口無料化の中学3年生までの拡大、子どもの貧困対策の拡充・長期的継続、アーケード再整備支援と中心商店街の活性化、LRT(次世代型路面電車)の導入検討、新基地反対などを重点公約に掲げた。これらの実現に向けて全力を挙げてもらいたい。
 当選した城間氏は「継続というありがたい判断を頂いた。玉城知事にとっても力強い後押しになると思う」と述べた。この思いをいつまでも大切にし、住んでいて良かったと誰もが思える県都を築いてほしい。