<社説>日中平和友好条約40年 関係深め 互恵と共生を

 日本と中国の平和友好条約が発効して、きょうで40年になる。隣国の中国とは関係悪化が進んだこともあったが、条約で誓った「善隣友好の精神」を堅持していきたい。

 日中平和友好条約は、国交正常化を決めた1972年の日中共同声明を踏まえて締結された。第1条で主権・領土の相互尊重、相互不可侵、内政不干渉を明記している。
 この40年間で両国の関係は大きく変遷した。真の「平和友好」関係の実現にはまだ遠いのが現実だ。
 中国の変化は著しい。改革・開放路線に大きくかじを切り、日本の支援も受け目覚ましい経済成長を遂げた。2010年には国内総生産(GDP)が日本を抜き、世界第2位の経済大国になった。
 日本にとって中国は大きな市場となり、経済の相互依存は強まる一方だ。しかし、安全保障や歴史認識を巡っては摩擦も続く。
 12年9月に日本政府が尖閣諸島を国有化した際は、中国が猛反発し、政治的には最悪の関係まで冷え込んだ。中国海警局の船による領海侵入は常態化し、緊張は今も続く。
 そもそも尖閣は琉球王国時代から琉球人の生活圏だ。不法行為は許されない。この海域での衝突は絶対に避けなければならない。
 平和友好条約でも、紛争は平和的手段で解決し、武力には訴えないとうたっている。両国が冷静に対処し、外交努力と知恵を尽くすべきだ。
 歴史認識も懸念材料だ。日本では歴史修正主義が台頭し、アジア諸国への侵略戦争を矮小(わいしょう)化する動きが目立つ。
 日本軍の加害行為や南京事件を否定する言説も出ている。体験者の証言や学術的研究から既に確定した史実である。歴史をゆがめる反知性主義を放置してはならない。
 98年の日中共同宣言では、中国侵略に対して日本が「深い反省」を表明した。しかし、安倍晋三首相は終戦の日の式典で、6年連続で加害責任に言及していない。歴史を直視しない姿勢は改めるべきだ。
 中国にも改善すべき点がある。近年、軍事費を増強し、軍事大国への道を突き進んでいる。南シナ海への進出は覇権主義の動きで、周辺国に脅威を与えている。東アジアの平和と安定を脅かす行為は直ちにやめるべきだ。
 条約第2条には、中国の要求で、双方が「覇権を求めない」と定めた。中国指導部は条文を読み直した方がいい。
 両国の国民感情は良好とは言えない。日本では「嫌中」「反中」の空気が一部に漂う。中国は反日教育で愛国心をあおる。その改善には国民の交流を一層進めることが大事だ。中国からの訪日客は飛躍的に増えている。互いの真の姿を知れば、偏見や先入観は薄まり、理解は進むはずだ。
 歴史上もつながりの深い一衣帯水の両国。条約の原点に立ち返り、信頼関係を築いて「互恵」と「共生」を探る道を強く求めたい。