<社説>辺野古県民投票 民意を明確に示したい

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票条例案が、県議会米軍基地関係特別委員会で賛成多数で可決された。26日の本会議で可決、成立する見通しだ。

 辺野古で進む埋め立て工事に対して、県民一人一人が意思を示す機会となるのが県民投票だ。改めて辺野古新基地建設について考える契機にしたい。
 県民投票は学生や弁護士、企業経営者らの住民有志でつくる「辺野古」県民投票の会が5月から署名活動を始め、条例制定の直接請求に必要な有権者の50分の1に当たる2万3千筆を大幅に上回る、9万2848筆を集めた。
 軍特委では、与党が埋め立て賛成と反対の2択で答える条例案を提案。野党の沖縄・自民と中立の公明は回答の選択肢に「やむを得ない」「分からない」を加えた4択を提案した。野党・中立は「県民のさまざまな意見を反映させる必要がある」としたが、そうだろうか。
 辺野古新基地建設問題は県知事選や国政選挙で繰り返し争点となり、県民はその多くで反対の意思を示してきた。しかし安倍政権は自民党が推す候補が落選すると「選挙の争点は(基地問題)一つではない」と述べ、新基地建設を強行してきた。間接民主制の弱点でもある。
 県民投票の目的は県民の意思を明確に示すことだ。法的拘束力がないとはいえ、民意を直接確認する意義は、いくら強調してもし過ぎることはない。
 条例案可決後、玉城デニー知事は6カ月以内に投票を実施する。しかし、懸念がある。投票事務に関してうるま、浦添、宜野湾、豊見城、糸満、石垣の6市が実施するか否かを保留しているからだ。
 石垣市議会は県民投票条例に反対する意見書を賛成多数で可決し、「一定の政治的主義主張に公費を使用して訴えるものだ」と批判した。
 有権者名簿は市町村の選挙管理委員会が持つため、現実的には市町村が投票事務を担わなければ実施できない。辺野古新基地建設を含む米軍基地問題は県民の暮らしにさまざまな影響を与えている。それについての考えは県民それぞれが持っているはずだ。投票を実施しない市が出ることになれば、市長や議会が市民の投票する権利を奪うことになる。
 米軍基地に関する県民投票は1996年に行われた。設問は「日米地位協定の見直しと県内の米軍基地の整理縮小について」という総論としての基地問題への問いだった。今回は辺野古への新基地建設に対する民意を初めて全県的に問うものだ。
 与野党ともに、県民投票を政争の具にし、党利党略に利用することがあってはならない。全ての市町村の協力を得て、新基地建設に対する県民の真意を明らかにする機会にしたい。