<社説>辺野古集中協議で合意 代替案示すべきは政府だ

 名護市辺野古で新基地建設工事が再開されてから初めて、玉城デニー知事が菅義偉官房長官と会談し、謝花喜一郎副知事と杉田和博官房副長官による集中協議を今月末まで行うことで合意した。とはいえ、政府はその間も工事を続行する方針であり、協議は形だけのものになりかねない。政府が姿勢を改めない限り解決はない。

 玉城知事が就任して間を置かずに安倍晋三首相、菅長官は知事との会談に応じた。しかし、その後に政府は県の埋め立て承認「撤回」の効力を停止させ工事を再開した。右手で握手するふりをしながら左手でほおを張るような行為だ。
 それでも玉城知事は、法廷闘争ではなく対話による解決を求め続け、1カ月間の集中協議を打診した。2日の衆院予算委員会で菅長官は「お互いの日程が合えば、虚心坦懐(たんかい)に話を聞いてみたい」などと述べ、今回の会談に至った。
 この答弁を引き出した県出身の下地幹郎衆院議員(維新・九州比例)はこの時、看過できない発言をした。
 「玉城知事が(辺野古に代わる対案を)提案してくるかぜひ見るべきだ。辺野古も駄目だが、普天間(飛行場の固定化)も駄目だと言うなら交渉する必要はない。辺野古をやめたいなら提案してくるかどうか試したらいい」
 なぜ知事が提案しなければならないのか。代替案を提案するとすれば、それは県ではなく政府の側である。
 改めて確認しておかなければならない。沖縄の米軍基地は、沖縄戦のさなかに住民を収容所に押し込んだまま、土地を奪い建設が始まった。普天間飛行場もその一つだ。さらに1950年代に山梨県、岐阜県から海兵隊が移ってきた。日本各地で反基地闘争が盛んになっていたことが背景にあった。
 この歴史を踏まえれば、普天間飛行場返還の条件として新基地を要求するのは、強盗が「奪ったものを返してやるから代わりを寄こせ」と言っているのと同じであろう。
 沖縄に米海兵隊が常駐する必要があるのかどうかも冷静に議論すべきだ。現代の戦争では海兵隊は緊急展開部隊ではなくなり、その輸送を担う艦船も沖縄にない。軍事的に見て沖縄に常駐する必然性がないことは専門家の常識だ。
 沖縄の基地問題は普天間飛行場だけではない。国土の約0・6%に約70%の米軍専用施設が集中し、戦後73年たってもその状態が続いているという過重負担の歴史的集積こそ、この問題の本質だ。普天間飛行場の代替施設がどうしても必要なら、沖縄以外の全国で適地を探すべきだ。
 工事を続行する中で進められる集中協議が展望を開くものになるかは未知数だ。はっきりしていることは、「沖縄でなければならない」という思考停止と差別を政府がやめない限り、沖縄の抵抗は続くということである。