<社説>学童保育の防災対策 行政の関与が足りない

 いざというときに子どもたちの命を守れるのか。支援すべき行政の責任は重い。

 県内の学童保育(放課後児童クラブ)の防災対策を巡り、琉球新報と県学童保育連絡協議会が実施した二つのアンケートから、不安を覚える実態が浮かび上がった。
 アンケートは学童保育施設と自治体を対象に別個の質問をした。防災対策にばらつきがあり、現場が苦慮している姿が明らかになった。
 県内の学童保育は民設民営が9割を占める。公設公営・公設民営が8割の他府県とは異なり、行政の支援が乏しい。子どもの居場所づくりに貢献してきた学童保育の役割を再認識し、自治体はもっと積極的に関わっていくべきだ。
 学童保育対象のアンケートは、県内447カ所のうち44%の195カ所が回答した。
 防災マニュアルは89%が作成している。だが「緊急時の連絡体制が保護者と共有できていない」が43%、「災害時に児童引き渡しの取り決めがない」が27%だった。マニュアルを作っても不十分となっている可能性が高い。
 法的に義務付けられている火災訓練、防災訓練ができていない学童保育はそれぞれ8%、12%あった。非常用の備蓄なしは64%に上った。
 現場からは「業務が多くマニュアルが作れない」「訓練を実施しているが正しいか分からない」「専門家とのつながりがない」との切実な声が寄せられた。人手も設備も不足する中で、他機関との連携が取れず、孤軍奮闘している施設も多いのではないか。
 一方、自治体調査は学童保育がある27市町村を対象にした。国が条例で定めるのが望ましいとする4項目のうち、「防災訓練」は27、「消防訓練」は26市町村が定めた。だが、「マニュアル作成」は9、「連絡体制の整備」は14にとどまった。全4項目を条例化したのは8市村だけだった。
 自治体も兼務の担当者が多く、防災対策が学童保育施設任せになっている。しかし、2015年度の「子ども・子育て支援新制度」で市町村が実施主体と明記された。日本も批准した「子どもの権利条約」でも「守られる権利」がうたわれている。子どもの命を守るという当事者意識を持って取り組むべきだ。
 効果的な実践例もある。糸満市の複数の学童保育は共同でマニュアルを作成した。名護市はマニュアルのひな型を提供している。行政や地域、学校と連携することで、学童保育側の負担が減り、子どもたちの安全が確保できる。
 学童保育は他府県では1960年代から公設化が進められた。米統治下にあった沖縄はその流れから取り残された。日本復帰後も道路などの社会資本整備が優先され、福祉施策は立ち遅れた。
 歴史的背景によって学童保育は民間頼みが続いてきた。今後は自治体が本腰を入れて、公的支援を充実させていかなければならない。