<社説>県内スポーツ回顧 活躍が県民を歓喜させた


社会
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 今年も県勢スポーツ選手が世界や国内の大会で大活躍した。その晴れやかな姿に、多くの県民が歓喜し、勇気づけられた。

 プロ野球パ・リーグの西武に所属する山川穂高選手が県勢として初のリーグ最優秀選手(MVP)に輝いた。開幕から4番として活躍し、今季47本塁打を放ち、自身初の本塁打王も獲得した。昨年の2軍落ちから見事にはい上がり、復活を遂げた偉業をたたえたい。
 同じく西武の多和田真三郎投手も今季16勝を挙げ、パ・リーグ最多賞に輝いた。山川選手とともに3・4月と9・10月に月間MVPを獲得している。投手、打者の両部門で同じチームの同じ選手が同一シーズンに2度受賞するのは初めてだ。2人の来季の活躍に期待したい。
 サッカーJ3のFC琉球の来季からのJ2昇格が決まった。今季20勝6分け6敗でリーグ最速で優勝した。2位の鹿児島に勝ち点9点差と群を抜く実力を見せつけている。ホーム戦では無敗を成し遂げた。来季の新たなステージでの熱戦が楽しみだ。
 11月にスペインのマドリードで開かれた世界空手道選手権大会で、喜友名諒選手が個人形で3連覇を成し遂げた。師でもある佐久本嗣男氏以来30年ぶりの快挙だ。金城新、上村拓也の両選手と共に、団体形でも2連覇を達成した。空手が新種目として加わる東京五輪が2年後に迫った。頂点を極め、金色のメダルを手にしてほしい。
 ゴルフ界でも躍進した選手がいる。比嘉真美子氏はKKT杯バンテリン・レディースで優勝した。トップ10入りが最多の18度となり、獲得賞金1億円を初めて突破し、賞金4位となった。新垣比菜氏は日本ゴルフトーナメント振興協会(GTPA)の新人賞に輝いた。新垣氏は29試合に出場し、サイバーエージェントレディスゴルフトーナメントでツアー初優勝を果たしている。来年はさらに飛躍しそうだ。
 国内外の有力選手を集めて団体戦で争うプロ卓球の新リーグ「Tリーグ」が10月に開幕した。男子4チームの一つとして「琉球アスティーダ」が参戦している。アスティーダの一員として活躍する江宏傑(ジャンホンジェ)氏は日本リーグ1部で活躍し、リオ五輪台湾代表だった。五輪メダリストの福原愛さんの夫でもある。選手たちの活躍で、県内卓球愛好家の裾野を広げたい。
 残念な出来事もあった。世界ボクシング評議会(WBC)フライ級王者だった比嘉大吾氏が計量に失敗し、王座を剥奪された。再起してリングに戻ってくる日を待ち続けたい。
 スポーツの世界は厳しい。だからこそ勝利して輝く選手の姿は、人々に希望を与えてくれる。来年も県勢の各分野の選手たちの活躍を期待したい。これからも県民に勇気を与えてほしい。