<社説>オリオン買収受け入れ 自主性発揮し発展目指せ

 発売60周年の節目に、創業以来、最大の経営決断がなされた。オリオンビールが野村ホールディングス(HD)と米投資ファンドのカーライル・グループによる買収を受け入れ、両社の完全子会社になると発表した。県内製造業の雄であり、県外にも知られたブランド力を持つオリオンだ。自主性を発揮して「沖縄の顔」を維持し、県外・海外へ発展するきっかけにしてほしい。

 米施政下の1957年に創業したオリオンは59年にビールの製造販売を開始した。「オリオン」の名称も出資も県民から公募したという成り立ちからして、長く「県民のビール」の地位を築いてきた。
 今回の買収の理由にビール業界の環境の変化が挙げられた。ビールは少子化や若者のアルコール離れ、酒類の多様化などで市場が縮小し、大手5社の2018年の国内出荷量は14年連続で最低を更新した。オリオンも例外ではない。海外向けは伸びたが、出荷量の約8割を占める県内向けは同1・7%減だった。
 野村・カーライルは国内、海外の市場に働き掛けてビール事業の強化を図るとともに、ホテル事業を第2の柱として強化する方針を示した。数年でオリオンの企業価値を高めて上場し、5年をめどに県内企業に買い取りを求めるという出口戦略を持つ。
 懸念されるのは、オリオンの資産と酒税軽減措置の行方だ。
 今回の買収はオリオンの持つホテルなどの不動産が目的ではないかとの臆測は根強い。記者会見で野村側は今回の買収を「不動産に着目したものではない」と明確に否定した。沖縄は国内有数のリゾート地だが、地元資本のホテルは多くない。オリオンの観光事業を育てて収益力強化を図ってほしい。
 オリオンは1972年の日本復帰以降、復帰に伴う激変緩和策として酒税の軽減措置を受けてきた。現行は20%の軽減率で、2018年3月期で純利益23億円のうち、税の軽減効果は大きな比率を占めるといわれる。県民も競合他社より割安なオリオンで価格の恩恵があった。
 軽減措置は復帰前から酒類を製造してきたメーカーが県内で造り、出荷される酒類―が適用条件で、オリオンに国内外の資本が入ったことは直接の条件変更に当たらない。
 しかし、軽減延長を決めた理由として国は「製造業の少ない沖縄における重要な地場産業」として「経営基盤の強化や振興を支援する必要がある」としている。資本注入で経営基盤が安定した企業が対象になるかは、今後の議論になるだろう。
 3社はオリオンの今後について、沖縄のDNAを維持しながら企業が永続する経営基盤を築くとした。それにはビール事業の強化、観光事業の継続、酒税への対応が課題だ。今後も「わったー自慢」であり続けてほしい。