<社説>軟弱地盤に杭6万本 荒唐無稽な工事をやめよ

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設で、政府は大浦湾の約57ヘクタールの海域に、砂の杭約6万本を水深70メートルまで打ち込む工事を検討していることが明らかになった。現場海域が軟弱地盤のため、大規模な地盤改良が必要なためだ。専門家がこれまで「マヨネーズ並み」の地盤と指摘してきたことが裏付けられた。

 安倍晋三首相は1月30日の衆院代表質問で、大浦湾の埋め立て予定海域に軟弱地盤が存在し、改良工事が必要になるとの考えを政府として初めて表明した。
 そもそも軟弱地盤であることは防衛省が2014年から実施した海底ボーリング調査で判明していた。16年3月までにまとめた報告書には地盤の強度を示す「N値」が最も軟弱な「ゼロ」の地点が複数確認されていたからだ。
 それにもかかわらず、政府は軟弱地盤による地盤改良の必要性を最近まで認めてこなかった。新基地建設で都合の悪い情報をひた隠しにしてきたとしか思えない。
 N値とはボーリング調査の杭を海底30センチまで到達させるためにハンマーで打ち込む回数を指す。重さ63・5キロのハンマーを76センチの高さから杭に向けて落下させる。杭を30センチまで打ち込むまで、何回落下させる必要があるかで地盤の強度が分かる仕組みだ。
 N値がゼロというのはハンマーを一度も落とさないのに、杭の重みだけで30センチまで沈み込む地盤のことだ。つまり軟弱の極みにあるということだ。「マヨネーズ並み」という表現が決して大げさではないことが分かる。
 そんな軟らかい海底に、ケーソンと呼ばれる巨大な酒升状のコンクリートの箱を数珠つなぎに並べて護岸を設置しようとしていた。荒唐無稽な工事であり、どだい無理な話だった。
 だからこそ、当初の埋め立て申請にはなかった砂杭を6万本打ち込む工事をしなければならなくなった。無理に無理を重ねているのだ。
 砂杭とは軟弱地盤に鋼管を差し込み、管の上部から砂を投入して締め固め、杭状の砂を地盤に打ち込むものだ。6万本となると膨大な砂が必要になるだろう。工期も費用も大幅にかさむことになる。このため県は工期が13年以上に延び、費用も約2兆5500億円に膨らむと試算している。血税を湯水のように使うほど価値のある工事なのか。
 政府は地盤改良工事をするため、県に対して埋め立て承認の計画変更を申請するようだ。しかし県は計画変更を承認しない可能性が高い。なぜなら県は承認を撤回した理由の一つに、軟弱地盤を挙げていたからだ。
 大浦湾の海域は県が「自然環境の保全に関する指針」の中で、最も保全する必要があるとする「ランク1」に指定している。貴重なサンゴが生息する美しい海をこれ以上破壊することなど許されない。