<社説>豚コレラ感染拡大 侵入防止に万全期したい

 豚やイノシシ特有の家畜伝染病である豚コレラが猛威を振るっている。岐阜、愛知、長野、滋賀、大阪の5府県で感染が確認された。沖縄では発生していないが、決して油断はできない。対策を徹底し、侵入防止に万全を期したい。

 豚コレラは昨年9月、岐阜県岐阜市の養豚場で発生が確認された。国内では1992年に熊本県で発生して以来、26年ぶりのことだ。野生のイノシシにも感染が広がっていることが判明している。
 そうした中、愛知県豊田市の養豚場の豚が感染し、出荷先の長野、滋賀、大阪各府県などの養豚場へと拡散した。
 豊田市の養豚場は、1月に愛知県が立ち入り検査した際、消毒の手順や野生動物の侵入防止などを定めた飼養衛生管理基準を全て満たしていたという。国の基準に抜け落ちている点がないのか、いま一度検証すべきだ。
 豚コレラにかかると、発熱、食欲減退、歩行困難などの症状が現れる。治療法はない。感染力が強く、致死率が高いのが特徴だ。発生すると、まん延を防ぐため、養豚場に同居する豚まで全て殺処分される。国内畜産業界に及ぼす影響は甚大だ。
 農林水産省によると、感染した豚の肉が市場に出回ることはないという。人にはうつらないので、仮に豚コレラにかかった豚の肉や内臓を食べたとしても影響はない。豚肉に対する誤った風評が広がらないよう注意したい。
 沖縄県内では1908年に初めて豚コレラが確認された。戦後、ワクチンの接種などで清浄化している。だが86年に再び発生し1600頭以上が殺処分された。それ以来、感染は確認されていない。県農林水産部によると17年12月末現在の豚の飼養頭数は21万1848頭に上る。県内への侵入は何としても食い止めなければならない。
 岐阜県での発生について農林水産省は、野生のイノシシが感染源という見解をまとめている。旅行者などが海外から違法に持ち込んだ食品に豚コレラのウイルスが含まれていて、これをイノシシが食べたことで感染した可能性を指摘した。野鳥などの野生動物を介してウイルスが持ち込まれることもあるという。
 ウイルスの侵入を防ぐには、豚舎に出入りする際の洗浄・消毒、畜舎や運搬車両の衛生管理等を徹底することと併せ、部外者の立ち入りを制限することも大切だ。日頃から家畜の健康状態に気を配り、少しでも異常が見つかれば、速やかに家畜保健衛生所に連絡する必要がある。
 豊田市の養豚場の場合、1月末から食欲減退などの症状が出ていたが、愛知県に連絡があったのは2月4日だった。県が出荷の自粛を求めたのは5日で、危機感が乏しかったと言わざるを得ない。
 国内での感染拡大が収まらないときは、予防のためのワクチンを使用することを前向きに検討すべきだ。