<社説>軟弱地盤深さ90メートル 不可能な工事は即中止を

 米軍普天間飛行場の移設に伴う辺野古新基地は、完成など到底できない。それを裏付ける事実が次々に明らかになっている。

 一つは軟弱地盤の深さ、もう一つはその地盤改良工事に使う砂杭(ぐい)の多さである。いずれも政府が隠し続けてきた「不都合な真実」だ。
 国内に前例がなく、極めて不可能に近い埋め立て工事は民意に背くばかりか、血税の無駄遣いでしかない。新基地建設は即刻中止すべきだ。
 名護市の大浦湾の軟弱地盤は、これまで海面から約70メートルの深さの層まで達していることが防衛省の2014~16年の海底掘削調査で判明していた。しかし、その後の追加調査で、さらに20メートルも深い、海面から約90メートル(水深30メートル、地盤60メートル)の層にまで及んでいることが新たに分かった。
 地盤工学が専門の鎌尾彰司日本大学准教授によると、国内の地盤改良工事で実績があるのは深さ50メートル程度までだという。国内の作業船も深度70メートルまでしか対応できない。90メートルという深さの工事は難度が非常に高く、「地盤改良が可能かどうかも想像すらできない」との見解を示す。
 日本の土木工事史上、未知の領域となる前代未聞の地盤改良である。安倍晋三首相は国会で「一般的で施工実績が豊富な工法により安定性を確保して行える」と述べたが、根拠は乏しい。いずれ工事が行き詰まることは明白だ。
 もう一つ判明したのが砂杭の多さだ。防衛省は昨年末まで、砂杭の本数を護岸・岸壁部で2万本、護岸内の埋め立て部で2万本の計4万本と説明していた。
 しかし、最近の報告書で護岸部4万本、埋め立て部2万本であることが分かった。さらに、作業船が入れない浅瀬部分でも1万3千本以上の砂杭を打ち込む予定であることが明らかになった。総計は7万6千本超にも上る。環境破壊は避けられない。
 埋め立てに適さない海域に、大型構造物の建設を強行するのは、どだい無理なのである。果たして総工費がどこまで膨れ上がるのか、完了までに何年かかるのか。政府は一切公表しようとしない。
 県は独自に工費が約2兆5500億円、工期が13年以上延びると試算したが、これは新事実が判明する前の数字で、さらに増大するのは必至だ。
 この間の政府のだまし討ちは許せない。以前から指摘されていた軟弱地盤の存在も隠し続け、今年1月にやっと認めた。情報を隠蔽(いんぺい)して県民をだまし、土砂投入という既成事実を積み上げて、県民の諦め感を狙う魂胆であろう。
 不誠実を通り越し、県民を愚弄(ぐろう)しているとしか思えない。差別的で植民地のごとき政府の姿勢は、他県の公共工事でも同様にできるだろうか。
 政府は埋め立ての難しさを率直に認めて、工費、工期を具体的に県民、国民に説明すべきだ。普天間飛行場の返還を遅らせてはいけない。