<社説>県産米で泡盛製造 生産拡大で知恵絞りたい

 県産米によって泡盛を製造する取り組みが具体化している。泡盛のほとんどはタイ米が原料だが、県産米を使えば付加価値が高まる。海外に売り込む上で大きなプラス材料になるはずだ。原料となる長粒種の生産拡大に向けて知恵を絞るべきだ。

 ワインや日本酒ではテロワール(地域の特徴)を持たせることで、輸出拡大に結びつけている。泡盛の場合、昭和初期から原料としてタイ米が定着してきた経緯がある。硬質米であり、泡盛を造るのに適しているからだ。
 県産米の使用による泡盛の輸出促進の取り組みは、宮腰光寛沖縄担当相が「琉球泡盛テロワールプロジェクト」と名付けた。これに対し生産者側には「原料米を全て買い取ってもらえるのか」という懸念がある。長粒種の栽培技術についても「確立されているのか」と疑問視する声が出ている。
 泡盛業界は「商品を定番化するためには原料米が安定供給されないと難しい」と指摘する。県産の原料米の価格がどうなるかも気になる点だ。「付加価値が生まれるので多少高くなっても売れるだろう」と酒造関係者は見込んでいるが、原料があまり高くなると厳しいという。
 政府と県は、泡盛の原料米をつくる農家に交付金を支給して県産米による泡盛生産を後押しする方針だ。全粒買い取りの契約栽培を提案し、酒造メーカーと生産者のマッチングを図るという。
 これまでタイ米を原料として泡盛が造られてきたのはそれなりの理由がある。示された課題を一つ一つ解決しながら、県産米を使った製品を徐々に増やしていけばいいのではないか。
 沖縄国税事務所が発表した2017年度の酒類課税状況によると、泡盛の出荷量は前年度比5・8%減の1万8244キロリットルで、13年連続で減少している。泡盛産業の普及振興を図るには県外出荷を増やすことが大切だ。
 泡盛の品質は各メーカーの不断の努力によって一昔前に比べると格段に向上した。全体的に芳醇(ほうじゅん)で親しみやすくなっている。飲み慣れれば誰もがその良さを認めるはずだ。
 原料が違えば泡盛の風味も変化する。県産米を用いることで、従来以上に高い品質の製品を提供することは至上命令となろう。
 輸出を促進するためには引き続き品質向上に取り組むことが不可欠だ。併せて、海外の人たちがより受け入れやすい製品を提供するための努力が求められる。
 泡盛の総出荷量に占める輸出の割合は0・2%程度にとどまっている。海外での知名度は日本酒などと比べると低い。泡盛の良さを世界に発信することも大きな課題だ。
 県産米を原料とした泡盛を造れば、県外、海外へのアピール度が違ってくるだろう。沖縄の誇る名酒泡盛を世界に広げたい。