<社説>きょう県民投票 自身の思い1票に託そう

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設による埋め立ての賛否を問う県民投票がきょう24日、投票日を迎えた。辺野古移設の賛否を直接問う県民投票はこれが初めてだ。必ず投票所に足を運んで「賛成」「反対」「どちらでもない」の3択のいずれかに「○」を書いて投票してほしい。

 名護市の大浦湾は豊穣(ほうじょう)な海だ。浅瀬から水深60メートルの深場まで、重層的な地形が独自の生態系を育んでいる。
 大浦湾一帯で見られる生物は5334種で、うち262種が絶滅危惧種だ。沖縄防衛局の環境影響評価で確認されている。宝の海と呼ばれるゆえんだ。
 類いまれな生物多様性の海であり続けられたのには理由がある。マングローブ、岩礁、干潟、サンゴ礁、海藻藻場、深みの砂泥底、岩や死んだサンゴが積み重なったガレ場といった複雑な自然環境が連続して存在したためだ。
 2007年、沖縄リーフチェック研究会が大浦湾に大規模なアオサンゴ群落が存在していることを発見した。群落は長さ80メートル、幅27メートルの規模で、水深約1~12メートルほどのなだらかな谷の形状に密集して広がっていた。
 アオサンゴの群落としては国立公園に編入された石垣市白保の大群落に次ぐ規模だという。アオサンゴは国際自然保護連合(IUCN)がレッドリストで絶滅危惧種に指定している。
 日本政府は現在、この大浦湾や辺野古海域に護岸を設置したり、土砂を投入したりして、新基地建設のための埋め立て工事を進めている。
 県民投票はこの海を新基地建設のために埋め立てることへの是非を問うものだ。沖縄の海は県民の財産だ。一人一人が自身の問題として捉え、自身の意思を投票で示してほしい。
 最も多く得票した選択肢が投票資格者総数の4分の1に達した場合、知事は投票結果を尊重しなければならないと条例で規定している。さらにその結果を知事が首相と米大統領に通知することも定めている。
 菅義偉官房長官は県民投票が告示された後の会見で「どういう結果であれ、辺野古移設の方針に変わりはないか」と問われ「基本的にそういう考えだ」と述べ、結果にかかわらず移設工事を進める考えを示した。
 県民投票には法的拘束力はない。しかし琉球新報社、沖縄タイムス社、共同通信社の3社合同で実施した県内全域の電話世論調査では、政府が県民投票の結果を「尊重すべきだ」との回答は86・3%に上った。日米両政府は県民投票の結果を尊重する必要がある。
 普天間飛行場の返還合意から23年がたった。県民の中には複雑な思いが交錯する。だからこそ辺野古移設の賛否を問う県民投票で、それぞれの思いを1票に託してほしい。