<社説>東日本大震災8年 想定外なくすのが肝要だ

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から8年となった。震災では死者が1万5897人、行方不明者は2533人に上った。避難者は今でも全国で5万人を超え、深い傷痕を残したままだ。

 岩手、宮城、福島の被災3県ではいまだに1700戸以上がプレハブ仮設住宅での生活を余儀なくされている。町の再建も遅れている。阪神大震災では約5年で仮設住宅がなくなった。それと比べると、復興までまだ道半ばだ。
 復興は順調かとの懸念は全国に根強くある。共同通信社が先月に実施した全国世論調査で「順調と思わない」と答えた人は「どちらかといえば」と合わせ計49%に上り、「どちらかといえば」を加えた「順調」の48%を上回った。
 2020年度末に廃止される復興庁について同社が被災3県の市町村長に聞いたアンケートでは、9割が後継組織が必要だと考えている。半数が、2020年東京五輪・パラリンピックで掲げられた「復興五輪」の理念は十分に浸透していないと感じている。自治体からは「被災地が置き去りだ」との声も上がる。
 それからしても被災地では深刻な状況が続いている。政府や国民は被災地に寄り添い、支援を続ける必要がある。
 福島第1原発事故はいまだに収束せず廃炉作業が続いている。大震災が残した大きな教訓の一つは、原発事故の恐ろしさだ。震災を機に自国のエネルギー政策を見直し、再生可能エネルギーへかじを切った国は少なくない。しかし日本は、いまだに原発を重要な基幹電源と位置付け、発電比率20~22%を目標に掲げている。30基以上稼働させないと確保できない割合だ。
 原発は安全でもコスト安でも安定的でもないことを学んだはずだ。環境問題に取り組む市民団体グリーン連合は、日本の再生エネルギーの目標は欧州各国に比べて低すぎ、不健全な原発延命策が取られていると指摘している。日本は原発の危険性や高いコストに向き合い、脱原発のエネルギー政策に転換すべきだ。
 第2、第3の事故が起きないか、国民の不安は高まっている。先の共同通信の世論調査では、福島第1原発のような深刻な事故が再び起こる可能性について86%が「心配が残る」と回答した。廃炉作業や避難区域の現状への関心は「高いままだ」「高くなった」と計67%の人が答えている。
 自身の居住地で大きな地震や集中豪雨といった自然災害に遭う恐れを感じている人も77%に上る。東日本大震災の後も熊本地震、西日本豪雨、北海道地震など立て続けに発生していることが背景にある。国民の危機感は増し、大震災が残した不安は過去ではなく現在進行形なのだ。
 地震などの災害は、断層帯が存在する沖縄も例外ではない。日本列島のどこでもいつでも起こり得る。日ごろの防災意識と対策を徹底し「想定外」をなくすことが肝要だ。