<社説>那覇空港の可能性 アジアのハブを目指そう


社会
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 那覇空港の国内線と国際線ターミナルビルをつなぐ連結ターミナル施設が18日、利用開始となる。2020年3月には第2滑走路の供用も始まる。空路を利用した沖縄への観光客はますます増えると思われる。空港インフラを存分に生かし、アジアのハブ空港を目指すべきだ。

 那覇空港の国際線ターミナルは14年に開業したが、設計が始まった10年度の国際線旅客数は41万人で、利用者は100万人を想定していた。
 ところが外国人観光客の増加に伴い、就航都市や便数が増え、供用開始と同時に満杯状態となり、18年は利用者が384万人に達した。格安航空会社(LCC)の2社は暫定貨物ビルで業務をしている状態で、空の玄関口として不十分だった。
 連結ターミナルにより、那覇空港に新たな可能性が加わった。
 国内の主要空港の多くは国内線と国際線の建物が別棟である。しかし那覇空港は連結ターミナルによって双方への移動がより容易になった。アジアを中心とした海外路線が多く、24時間の運航が可能な那覇空港は、日本各地と海外を結びトランジット(乗り換え)ができるハブ空港の役割を果たすことができる。
 ただし、那覇空港のインフラを活用するには数々の課題がある。最大の難題は第2滑走路ができても発着回数が現状の1・13倍にしかならないことである。国交省は第2滑走路供用後の発着回数を18・8万回と試算する。年度実績16・6万回に対し2・2万回しか増えない。
 第1の要因は空港北側に嘉手納基地への進入経路があることだ。北方向の発着には米軍の進入経路を避け、千フィートの高度制限の中、西寄りにカーブした進路を取らねばならない。その飛行機が飛行経路を横切る間は第2滑走路からの発着ができない。
 2点目は自衛隊機の使用増加だ。那覇空港は自衛隊との共用空港で、自衛隊機による緊急発進(スクランブル)などでさらに過密になっている。3点目は旅客ターミナルの位置で、第2滑走路を使う飛行機がターミナルを行き来するために横切る間は現滑走路は使えない。
 米軍機の飛行が優先され、自衛隊機の発着が過密化に拍車を掛ける。2本の滑走路を効率よく使えないとなれば、アジアのハブ空港の機能は担えない。20年の第2滑走路供用開始前に軍優先という那覇空港の根本的問題を解決しなければならない。
 また、搭乗客の出迎えや悪質なレンタカー業者による違法駐車で、空港周辺に渋滞を引き起こすなどの問題も指摘されて久しい。改善に取り組むべきだ。
 沖縄観光発展の歩みは空路拡充の歴史でもある。県が目指す観光客1200万人に向けて、那覇空港の果たす役割は大きい。課題の解決が急がれる。