<社説>「働き方改革」始動 人を大切にする環境に

 残業時間の上限を規制し、年次有給休暇の年5日取得義務化などを盛り込んだ「働き方改革」が今月からスタートした。改正労働基準法など関連法の施行が裏打ちとなる法的規制の下のスタートとはいえ、あらためて人を大切にする就労環境の整備に労働者、使用者が英知を結集したい。

 残業は月45時間、年360時間までが原則となった。繁忙期など特別な事情がある場合でも月100時間未満(休日労働を含む)、2~6カ月の平均で80時間以内(同)、年720時間に制限している。違反企業には罰則も規定されている。
 残業の上限規制は1947年の労働基準法制定以来約70年ぶりの大改革である。
 企業規模によって施行時期は異なり、大企業は今月から施行されるのに対し、中小企業は来年4月となる。県内企業は中小が99・9%を占めるため、ほとんどが来年からとなるが、県内企業も及び腰ではいられない。この1年で抜本的な見直しに向け地道な取り組みが求められる。
 年休取得は今月から全ての企業で始まっている。年休の取得促進は年10日以上付与されている労働者が対象となる。うち5日分は本人の希望を踏まえ、企業が時季を指定して与える義務がある。
 こうした抜本改革の背景には全国的に相次いだ過労死や過労自殺がある。同様に県内企業の現状にも懸念される事態がある。バス運転手の男性が就労実態について語っている。深夜に帰宅し明け方に出勤する勤務形態で、残業は月100時間を超え、就労時、帰宅時に意識を失う経験をしたという。一個人特有の事例でもない。
 半面で、働き方改革に成功した事例もある。離職者が年間、総従業員数の半分に及んだ県内企業は、業務の平準化や受注基準の見直しといった身を切る改革を断行した。従業員の私生活を大切にした働き方を探って実践した結果、改革当初の売り上げは伸び悩んだが、その成果が出て改革以前の売り上げを超えるまでになった。
 法解釈で職業は生計を維持する継続的活動であるだけでなく、社会的機能を分担し個性を全うする場として人格的価値を有すると定義される。
 売上高を増やした県内企業は従業員が「個性を全う」できる働き方改革に企業運営の重点を移し成功している。
 一方で、一連の働き方改革関連法には、高収入の一部専門職を労働時間規制や残業代の支払い対象外とする「高度プロフェッショナル制度」も創設された。過労死などを助長しかねないとの批判があり、負の側面もある。
 人手不足を補う人材として外国人材の就労拡大に向けた新制度も始まった。単なる穴埋めとして捉えるのではなく、法のより良き運用で、一人一人の個性と生活を重視した外国人材にも魅力ある働き方改革大国を目指したい。









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