<社説>コンビニ営業時間 24時間見直し柔軟対応を


社会
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 一部のコンビニエンスストアで24時間営業を続けることが難しくなっている。持続可能な事業の在り方について、消費者も含めて議論を進める必要があろう。

 24時間営業の問題は2月、業界最大手セブン―イレブン・ジャパンで、東大阪市の加盟店オーナーが人手不足を理由に営業時間を自主的に短縮したことをきっかけに、大きな関心を集めた。
 セブンの本部は当初、同加盟店オーナーに違約金とフランチャイズ(FC)契約の解除を伝達した。その後24時間営業の議論が高まり、違約金や契約解除の撤回を伝え、営業時間の短縮実験にも乗り出した。だが対応が後手に回った感は否めなかった。
 セブンは古屋一樹社長が代表権のない会長となり、永松文彦副社長が8日付で社長に昇格する人事を発表した。加盟店対応の不備が要因となり、問題が社長交代に発展したことを重く受け止めたい。
 問題はもちろん、他のコンビニ各社にも共通している。ローソンが3日に那覇市で開いた全国FC加盟店オーナー代表者との意見交換会では、人手不足への危機感や時短の利点を訴える声が上がった。
 全店での24時間営業は、消費者にとっての利便性だけではなく、業界にとっても深夜・未明でも効率的に商品を届けられる利点がある。食品などの製造から物流までのシステムが確立しており、営業時間短縮が一筋縄には進まない事情があるという。
 だが人手不足は深刻化しており、24時間営業の見直しは不可避だろう。コンビニオーナーでつくる「コンビニ加盟店ユニオン」はこの問題に関して、「人間として限界に来ている」と訴えている。
 24時間の見直しは外食産業で先行している。宅配なども時短の取り組みが進む。FC展開が中心のコンビニとは背景が異なるが、時代の変化に柔軟に対応していかなければ、コンビニ業界の存続基盤が揺らぎかねない。
 各社も手をこまぬいているわけではない。レジの省力化技術導入による次世代型店舗の開発や、陳列棚の改善などを含めた従業員の作業負担軽減を図ってきている。取り組みを加速させてほしい。
 政府も動きだした。世耕弘成経済産業相は5日、コンビニ8社の経営トップらと意見交換し、人手不足や人件費上昇など加盟店が抱える問題の是正に向けた行動計画の策定を要請した。ただ国の経営関与は慎重であるべきだ。世耕氏が言うように、各社の「自主的な取り組み」で問題の打開策を見いだしてほしい。
 コンビニは誕生から約50年、沖縄でも大手進出から30年余りがたつ。災害時の支援拠点としての役割も含め、暮らしに不可欠な存在だ。だからこそ社会の働き方改革を先導し、オーナーとの共存共栄を図るような対応を期待したい。消費者の側も固定観念を改め、議論を進めたい。