<社説>伸び悩む女性議員数 男性中心の議会いびつだ


社会
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 7日投開票された統一地方選・41道府県議会議員選挙には、389人の女性が挑み、過去最高の237人が当選した。女性の当選者に占める割合も10・4%になった。とはいえ、6道県で減少、選挙がなかった県内など6都県を含めると1桁の議会も40に上るなど依然、男性中心のいびつな状況に変わりはない。

 政府は2020年までに「社会のあらゆる分野において、指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする」目標を掲げている。特に今選挙は昨年5月に「政治分野の男女共同参画推進法」が成立してから初めて行われた選挙である。
 民主政治を支える議員数ですら到底目標におぼつかない現状を変えるために抜本的な対策を講じる必要がある。
 女性議員の少ない原因を女性議員に尋ねた昨年3月の内閣府の委託調査がある。最多の回答は「議員活動と家庭の両立が難しい」。次いで「家族や周囲の理解が得づらい」「政治は男性が行うものという考え方が強い」と続く。
 戦前の家父長制といった「家」制度的意識が女性の政治参加の足かせになっていないか。憲法24条は家族生活における個人の尊厳と両性の平等を定める。判例でも「夫たり妻たる故をもって権利の享有に不平等な扱いをすることを禁じ」ている。
 まして憲法14条は、すべて国民は法の下に平等であり、性別などにより政治的、経済的または社会的関係において差別されないと定める。政治は男性の専権と捉える意識がいまだにあるとすれば、時代錯誤も甚だしい。
 アファーマティブアクション(積極的な差別是正措置)と呼ばれる政策がある。差別の対象の是正、改善を法的に義務付け、あるいは行政指導などをする。
 諸外国の地方議会で女性の政治参加が増えているのは、その一つであるクオータ制(人数割当制)など、さまざまな取り組みがなされているためという。
 スウェーデンでは、1994年の選挙で多数の政党が男女交互の候補者名簿を作成した。英国では労働党が党内役員にクオータ制を導入した。 ドイツでは、緑の党がクオータ制を導入し、その後、社会民主党などの主要政党も導入している。
 国内の都道府県議会の女性割合ランキングを見ると、1位が東京の36人(28・35%)。以下、京都13人(21・67%)、神奈川19人(18・10%)と続く。沖縄は12位で6人(12・50%)だ。30%の目標に届く議会はない。
 政府が到達目標を掲げる女性の「指導的地位」の職業には議員のほか、企業や官公庁管理職、教員、研究者などが挙げられている。まずは各政党が女性候補者の割合を一定以上にする取り組みを進めるべきではないか。率先垂範することで、女性進出の障壁を崩したい。