<社説>空自F35A墜落 欠陥あれば調達見直しを

 航空自衛隊三沢基地の最新鋭ステルス戦闘機F35Aが9日に青森県沖の太平洋に墜落してから10日余が経過した。依然として原因は明らかになっていない。機体の欠陥、人為的ミスのいずれかに起因するとみられる。

 航空自衛隊は事故後、同型機の飛行を停止した。万一、陸上に落ちていれば大惨事を引き起こすところだ。自衛隊員の命を守るためにも、機体の欠陥による事故でないことがはっきりするまでは、飛行停止を継続する必要がある。
 消息を絶ったのは、操縦士の3等空佐が「訓練中止」と無線で連絡してから1分後のことだ。緊急時に座席ごと飛び出しパラシュートで降下する脱出装置があるが、使用された形跡はないという。
 行方不明の操縦士は総飛行時間が約3200時間のベテランだ。F35Aでは約60時間だという。経験豊富なパイロットでも致命的なミスを犯すことがあるのか。機体に問題がないとすれば体調に異変が生じた可能性もあるだろう。
 墜落したとみられる海域は水深が1500メートルもある。位置を特定し、機体を引き揚げるには相当な困難が予想される。だからといって諦めるわけにはいかない。事故機を回収し、フライトレコーダーを解析しなければ、原因を解明できないからだ。
 F35はレーダーで捉えにくいステルス性に優れ、政府が次期主力戦闘機と位置付けている。短距離離陸・垂直着陸が可能なF35Bと合わせ、計147機を米国から購入する方針だ。取得価格は1機約116億円(2018年度の契約ベース)に達する。
 安全性が確認されないまま、導入することがあってはならない。機体の欠陥が明らかになった場合は、調達計画を根本から見直すべきだ。
 F35を巡っては、米政府監査院(GAO)が昨年、966件の技術的問題が見つかったと指摘していた。これらの欠陥のうち111件は安全性や重要な性能を危険にさらす問題だという。
 空軍仕様のF35Aは、これまでに13機が三沢基地に配備された。このうち事故機を含む5機は、計7回、国内を飛行中に不具合が発生し、緊急着陸している。墜落との関連性はないのだろうか。
 F35は対外有償軍事援助(FMS)を利用して購入する。米国の見積額に基づく前払いが特徴だ。取得額はほぼ米国の「言い値」とみられる。
 昨年11月末の日米首脳会談の際、トランプ米大統領が記者団の前で「日本は『米国から数多くのF35を購入する』と約束してくれた。感謝を表したい」と述べ、安倍晋三首相との協議の中身を暴露したことは記憶に新しい。米大統領の求めに応じた「爆買い」との批判も根強い。
 防衛費を押し上げる高額な新装備の導入には疑問がある。まして欠陥を抱えた可能性があるものに莫大(ばくだい)な国費を投じることは許されない。



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