<社説>衆院補選きょう投票 未来へつながる1票を


社会
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 玉城デニー知事の知事選出馬に伴う衆院沖縄3区補欠選挙は21日、投開票される。県内では2月に名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票が行われた。以降、最初の国政選挙となる。

 沖縄市、うるま市と恩納村以北の計14市町村で構成する沖縄3区は、米軍普天間飛行場の移設先とされる名護市辺野古を含む選挙区だ。それだけに、辺野古新基地建設問題は引き続き、最大の争点だ。
 さらに沖縄振興の在り方、子どもの貧困対策、過疎や医療への対策も争点となる。中北部の政策課題の解決に、1票を投じたい。
 3区補選は「オール沖縄」陣営が推すフリージャーナリストで新人の屋良朝博氏(56)=無所属=と、元沖縄北方担当相で新人の島尻安伊子氏(54)=自民公認、公明、維新推薦=の一騎打ちとなり、激しい選挙戦を繰り広げてきた。
 普天間飛行場の名護市辺野古移設の是非について、両候補の主張は明確だ。屋良氏は辺野古移設に「反対」、島尻氏は「容認」である。いずれも早期の普天間の危険性除去では一致しているが、その返還手法などで違いがある。
 自民党県連は前回知事選で辺野古問題を封印して臨んだが、今回は新基地建設を進める政府与党と歩調を合わせ、旗幟(きし)を鮮明にした。両者の立場の違いは有権者の判断材料となる。
 屋良氏は、辺野古の埋め立てを必要としない普天間返還プランの策定を公約の柱に据える。KC130空中給油機の岩国基地への移転などを念頭に機能分散による危険性除去を訴える。
 島尻氏は、辺野古移設による普天間飛行場の全面返還は「危険性の除去と基地の整理縮小、そして負担軽減につながる」と強調する。普天間の全面返還に全力で取り組むと訴える。
 現行の沖縄振興特別措置法を巡っては、両氏とも単純な振興計画の延長や現行のままの延長は望ましくないという意見で一致している。
 屋良氏は地場産業における第1次、第2次産業の拡充、物流費低減などによる県民所得の向上を掲げる。
 島尻氏は、教育や福祉などソフト面の充実や民間企業への支援強化を通じた自立型経済の構築を挙げる。
 中部、北部の振興も大きな争点だ。多くの観光地を抱える北部、「素通り観光」が指摘される中部は好調な県経済の恩恵を取り込む施策が必要だ。両候補の主張に耳を傾け、選択の材料としたい。
 子どもの貧困、医療体制の充実など課題は山積している。国政では安倍政権が目指す憲法改正、消費税10%への引き上げ、アベノミクスの評価などに衆院議員としてどう対応するかも問われる。
 有権者は、自ら投じる1票が未来へつながることを肝に銘じ、投票所へ足を運んでほしい。