<社説>児童福祉司業務過多 児相の体制改善が急務だ

 県の中央、コザ両児童相談所の児童福祉司が激務に追われている。

 本紙の調べによると、2018年度に県内児相に配置されていた児童福祉司全49人のうち、1人当たりの担当件数(2月末時点)が最も多い児童福祉司は、コザ児相で97件、中央児相で89件を受け持っていた。
 背負い切れないほどの事案を抱えていては、きめ細かなケアができなくなる。県は、児童福祉司の業務改善に努め、児童相談所の体制強化に取り組んでほしい。
 児童福祉司の主な業務は子どもの福祉に関する相談に応じ、必要な支援・指導をすることだ。県内の児相は、虐待通告後の調査や子どもの一時保護に当たる「初期対応」、在宅指導ケースを担当する「地区担当」に重点を置いて児童福祉司を配置している。
 その影響で、児童養護施設に入所した児童と保護者のケアに当たる「施設担当」の受け持ち件数が特に多くなっている。
 千葉県野田市で1月に小学4年栗原心愛さんが死亡する事件が起きた後、中央、コザ両児相で児童虐待に関する相談が増加した。「初期対応」の児童福祉司の業務量も増えている。
 児童虐待には身体的虐待、性的虐待、食事を与えないといったネグレクトなどがある。児童福祉司の果たす役割は極めて大きい。
 県は県議会2月定例会で、児童福祉司の1人当たりの平均担当件数を43・7件と報告した。本紙の調査では、産休育休代替の臨時職員に均等にケースを割り当てられず、正職員の担当数が膨らむ実態も浮き彫りになっている。
 政府が、虐待防止のための体制強化プランで示している業務量は1人当たり「40件相当」だ。
 担当するケースが多くなると、その分、リスクを見落とす危険性は高まる。
 深刻な虐待事件が起きるたびに、児相の対応に問題があったかどうかに注目が集まるが、そもそも適切なケアができる体制が整っていなければ、未然防止はおぼつかない。
 「施設担当」の児童福祉司が1人で100件近いケースを担当していることについて、山野良一沖縄大教授は「異常」と断じた。県はこの指摘を重く受け止めるべきだ。1人当たりの担当数の上限を決め、どうしても守れないときは増員するしかないだろう。重篤な事案が起きてからでは取り返しがつかない。
 県の児童相談所は中央、コザの2カ所だ。宮古、八重山には中央児相の分室がある。児童虐待のほか、保護者の事情で子どもの養育が困難になったケース、非行・問題行動、子どものいじめ、里親などの相談に応じている。
 財源などの条件が整うなら、中核市である那覇市も独自の児相設置を検討していい。未来を担う子どもを守ることこそ最優先の課題だ。



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