<社説>観光客1千万人時代 質の向上に知恵を出そう

 観光客1千万人時代が目前に迫る。沖縄は国内外から人の集まる異次元の観光リゾート地へ突入する。量だけでなく質を追い求め、県全体の活性化につながるよう官民挙げて知恵を出さねばならない。

 2018年度の沖縄への入域観光客数は999万9千人で、前年度より4・4%増え、6年連続で過去最高を更新した。目標の1千万人には届かなかったが、県をはじめ多くの関係者が来年度の達成は確実と見込む。
 主な要因は外国人観光客が大きく伸びたことだが、国内客も堅調だった。外国人観光客は対前年度比11・5%増の300万800人となり、初めて300万人台に達した。
 国内客も同1・6%増の699万8200人と6年連続で過去最高を記録した。観光庁の18年(1~12月)日本人国内延べ旅行者数は前年比13・2%も減り、国内観光地の中には外国人客が増加した半面、国内客の減少に頭を痛めているところもある。沖縄の国内客の86%はリピーターで、その堅調ぶりは沖縄観光の底堅さを示している。
 好調さを維持しつつ、量の拡大により発生する課題を解決し、観光消費額を上げるなど質の向上につなげなければならない。
 いまや、145万人の県民に加え、1日当たり約10万人の観光客がこの小さな島々に滞在している。観光客増による交通渋滞や混雑、ゴミの放置など地域の生活環境が悪化するオーバーツーリズムの問題も出ている。空港や交通アクセスの利便性を高め、民泊などのルール徹底化が必要だ。観光客の分散化を図り、今まで観光客が来なかった地域に客を送り込むことで県全体の底上げを図りたい。
 消費額を伸ばすには宿泊日数を増やすことが必要だ。観光客数で競り合うハワイは滞在中の1人当たり観光消費額が約19万5千円だったのに対し、沖縄は約7万3千円。この差は、ハワイの9日、沖縄は3・78日となっている滞在日数の差でもある。長期滞在を促し、夜の観光のメニューをそろえるなどの工夫も必要となる。
 観光業で働く人の待遇改善は大きな課題だ。県統計では「宿泊・飲食サービス業」のパートタイム労働者比率は62%と高い。現金給与額も全産業平均の74%しかない。これでは人材も集まらず、所得向上につながらない。実際、県民意識調査で「観光が生活の豊かさにつながると思うか」との問いに「思わない」は計37%で、「思う」の計29%を大きく上回った。県民はシビアに見ている。
 19年度は南部九州高校総体の沖縄開催、20年は那覇空港第2滑走路の供用開始、東京五輪・パラ五輪など好材料がある。県は19年度の目標を1030万人に設定した。1千万人時代を前提に、世界に冠たる安心安全なリゾート地として沖縄も潤う観光を目指したい。