<社説>PFOS水源汚染 安全の確保は至上命令だ

 本島中部を中心に、地下水や河川への有機フッ素化合物の混入が相次いで確認されている。米軍基地のほか産業廃棄物処分場など水質汚染は複合的な要因が想定されるが、発生源の解明に向けた行政の動きは鈍さが目立つ。

 水源から化学物質が検出されているという各種の調査結果に、県民の飲み水にも影響が及んでいるのではないかという不安が住民の間に高まっている。水道水の安全の確保は至上命令だ。県は発生源の特定を急ぎ、汚染当事者に対し混入防止措置を講じるよう強く迫らなければならない。
 県環境部が2018年度に沖縄市池原の産業廃棄物処分場周辺で実施した地下水の調査で、フッ素化合物の一種であるPFOAが1リットル当たり2600ナノグラム、国内で原則的に使用・製造が禁止されているPFOSが1100ナノグラム検出された。
 日本で水質基準値は定められていないが、米国では飲料水中の生涯健康勧告値としてPFOS、PFOA合わせて1リットル当たり70ナノグラム以下とされている。検出された値はこれを大きく上回る高濃度だ。
 有機フッ素化合物は発がん性など人体の健康被害のリスクが指摘されている。中でもPFOSとPFOAは環境中でほとんど分解しないため高い残留性や生物への蓄積が問題となり、PFOSについては国際条約で製造・使用が制限されている。
 沖縄での問題は16年1月に県企業局が、北谷浄水場の水源である大工廻川や比謝川でPFOSの数値が高いことを発表したことで明らかになった。県企業局は米軍嘉手納基地から流れ込んだ化学物質である可能性が高いと指摘し、基地内の立ち入り調査を要請してきた。だが米軍は立ち入りを拒否し続け、汚染源を特定するには至っていない。
 同じく地下水からPFOS、PFOAが検出された沖縄市の産業廃棄物処分場は、閉鎖されれば県内のごみの行き場がなくなるという懸念から、行政による踏み込んだ是正指導が進んでこなかった経緯がある。この間に原状回復が難しいほど廃棄物が山のように堆積し、周辺への環境影響を大きくしてきた。
 県企業局は北谷浄水場の水質目標として、PFOSとPFOAの合計で1リットル当たり70ナノグラム以下に設定する。北谷浄水場の状況は平均30ナノグラム程度と目標値を下回っているが、本島内の他の浄水場と比べ高い数値だ。取水する水源に混入があることが明確である以上、汚染源の特定について行政の対応がこれからも後手に回ることは許されない。
 水の安全に関する問題は住民の健康に直結することはもとより、好調な沖縄観光や出荷する農作物の信頼性にまで影響が及びかねないことを県は認識しなければならない。危機管理の意識を強く持ち、汚染当事者に拡散防止の措置を直ちにとらせていく厳格な対応が求められる。