<社説>人手不足でバス減便 利便性の確保が不可欠だ

 バスの運転手不足は、沖縄本島で路線バスを運行する大手4社が運行本数を減らすところまで深刻化している。モノレール以外に軌道系交通のない沖縄で、公共交通の存続に関わる事態だ。運転手確保に必要な待遇改善のため事業者の自助努力は当然だが、状況によっては公的な支援についても検討が必要だ。

 4社の今年に入ってからの減便数が、18路線で最大86便(片道換算)になる見込みだという。琉球バス交通と那覇バスは3~4月のダイヤ改正に伴い平日と土曜・日曜・祝日で減便した。沖縄バスは15日から土日祝日で計16便を減便し、東陽バスは17日から6路線で30~52便を減らす。
 減便数が多い東陽バスは退職者を補うだけの運転手が確保できず、現状の運行路線を維持できなくなったとしている。実際、2018年度のバス運転手の平均有効求人倍率は2・61倍、バス会社の本社が集中する本島南部で見れば3・63倍に達し、全業種の1・18倍を大きく上回る。
 人手不足が突出する背景の一つに、沖縄の好調な観光需要を受けて貸し切りバスの新規参入が続き、路線バスから運転手が流出していく状況がある。早朝・夜間を含むシフト勤務、定時運行を求められる精神的重圧などから、路線バスの乗務希望者の確保が難しくなっているという。
 バス各社も手をこまぬいてきたわけではない。未経験者でも大型二種免許の取得費用を会社が負担するなど、人材の育成から取り組んできた。だが、各産業が人手不足を抱える中で就職先としての魅力を高めるには、給与の引き上げや勤務体系見直しといった待遇改善は避けて通れない。
 その待遇改善の原資を生み出すためにも経営の改善は必須だ。減便が新たなバス離れを招き、採算の悪化からさらに減便を余儀なくされるという悪循環だけは避けなければならない。
 運行を担うのは民間企業とはいえ、バスは県民の足とも言える交通インフラだ。高齢ドライバーの運転免許自主返納も、マイカーに替わる移動手段がなければ掛け声倒れに終わる。公共交通の維持に必要な運転手の確保、バス利用の促進について政策的な関与が必要だろう。
 浦添延長に伴い3両化の財政支援が議論される沖縄都市モノレールも、モノレール沿線とバスが効果的に連結しなければ、直接の恩恵は那覇市と浦添市の一部にとどまる。20年3月には那覇空港第2滑走路が完成する。観光客と共にレンタカーが増え続ければさらなる渋滞を招く。
 県は全県的な交通体系をいま一度見つめ直し、持続可能な路線バスの在り方を検証するべきだ。多くの人がバスを利用すれば事業者の経営は安定する。乗客の利便性の確保が不可欠だ。利用者の使い勝手が良くなる改革を進めながら、バスの良さを広くアピールすることも大切だ。