<社説>韓国向け輸出規制 対話の道を追求すべきだ

 日韓の対立が泥沼化の様相を呈してきた。政府が半導体などの製造に必要な材料3品目の韓国向け輸出規制を強化する方針を打ち出したのだ。これらはスマートフォンやテレビに使われており、韓国の産業の急所を突く措置だ。

 政府は、規制強化の理由を安全保障上の問題と説明するが、元徴用工問題が背景にあることは明らかだ。
 すかさず韓国も世界貿易機関(WTO)への提訴を検討すると表明した。
 対抗措置の応酬は事態をますます悪化させる。両国とも冷静になって対話による解決の道を追求すべきだ。
 問題の発端は、日本の植民地時代に労働を強いられたとして韓国人の元徴用工らが日本企業に賠償を求めたことに始まる。韓国最高裁が昨秋、2社に賠償を命じる原告勝訴判決を言い渡し、確定した。
 これに対し日本政府は1965年の日韓請求権協定によって「解決済み」として反発を強めている。
 協定は、日本の韓国に対する経済協力として、当時のレートで約1080億円に当たる3億ドルを無償供与し、別に2億ドルの長期低利貸付を行うことを定める一方、日韓両国とその国民の間の財産、権利、利益、請求権に関する問題が「完全かつ最終的に解決された」ことを確認する内容だ。
 協定の解釈などに関する紛争は外交で解決し、解決しない場合は仲裁委員会の決定に服するとも規定している。
 韓国最高裁の判決を機に、協定の解釈に齟齬(そご)が生じたのが現状である。国家間の約束である協定に従い、外交による解決策を模索し、それが困難な場合に、仲裁委員会の判断に委ねることが正しい道筋であろう。韓国政府はこの点を見失ってはならない。
 他方、国家間の協定はあったとしても、被害者の痛みはいつまでも残る。日本が加害の歴史に正面から向き合ってこなかったことが、個人の請求権は「消滅していない」という韓国最高裁の判断につながったと考えられる。
 元徴用工の問題は、植民地支配の下で行われた人権侵害にほかならない。対立を深めるよりも、どうすれば救済できるのか、知恵を絞ることこそ大切だ。
 G20大阪サミットで安倍晋三首相は「自由で公平、無差別な貿易」の実現を目指す首脳宣言を主導してまとめた。舌の根も乾かぬうちの輸出規制に言行不一致との批判は免れない。
 菅義偉官房長官は輸出規制強化について「韓国とは信頼関係の下で輸出管理に取り組むことが困難となっている」と述べた上で、対抗措置との見方を否定した。認めてしまうと、自由貿易に逆行するという批判をかわしにくくなるためだとみられている。
 日韓両国の関係悪化は、双方に不利益をもたらすだけだ。一度頭を冷やし、両国にとって最善の解決策を外交努力によって見つけるべきだ。



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