<社説>希少動植物保護条例 議論を深めて早期実現を

 沖縄の希少な動植物を密猟や開発などから守る「県希少野生動植物保護条例」案を、県が2019年度中にも県議会に提出する。具体的な動植物や区域を指定して保護を強化することは、世界自然遺産登録を果たす上でも喫緊の課題だ。全県民的な議論を深め、早期実現につなげたい。

 条例は、種の保存法や文化財保護法といった国内法の保護下にない希少動植物の保護を地域独自で図るものだ。県によると既に30都道県が制定している。日本唯一の亜熱帯地域であり、島独自の生態系が発達する沖縄で条例制定の動きは遅いくらいだ。
 絶滅の恐れがある希少な動植物を違法に捕獲し、取引する事例は後を絶たない。その取引もインターネットを使い複雑、広範になっている。
 昨年10月、ワシントン条約で取引が規制されている日本の天然記念物リュウキュウヤマガメ60匹を密輸しようとした日本人が、香港国際空港で摘発された。数の多さとともに、沖縄の希少種の違法な取引が国際的に広がる実態が関係者に衝撃を与えた。
 また、南北大東島に生息するダイトウヒラタクワガタは「沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(レッドデータおきなわ)」の絶滅危惧Ⅱ類に分類されるが、商業目的の捕獲を法的に規制することができない。国内法は全国レベルで絶滅の恐れがある野生動植物を対象としているため、沖縄だけに生息する動植物が必ずしも保護の対象になっていないためだ。
 現在、種の保存法などの国内法は、県内に生息する55種の希少動植物の捕獲などを規制している。これに対しレッドデータおきなわに掲載される絶滅危惧種はⅠ・Ⅱ類合わせて1237種に上る。
 レッドデータに掲載されることで希少価値が高まり、かえって捕獲対象として狙われる皮肉なケースもあるという。県条例で捕獲や採取を禁じる動植物の対象を広げ、生息保護区を設定するといった対策が求められる背景だ。
 逆に、本来は沖縄にいない動植物が持ち込まれ、在来種を駆逐しながら繁殖する問題も深刻だ。外来種が入ってくる理由はさまざまだが、購入したペットを逃がしたり、飼育が困難になって野に放ったりする県民自身の安易さもある。条例は外来種にかかる規制も対象となる。
 県は08年にも制定を模索したが、希少動植物が多く、保護種の指定が難しいといった理由で見送った経緯がある。もはや先送りは許されない。条例は罰則や保護区の指定を含み、地元の理解と協力も不可欠だ。
 県は条例案をホームページに公開し、今月29日まで意見を募集する。厳重に保護すべき固有種や絶滅危惧種の多くが沖縄に生息することは、今や世界的な共通理解といっていい。県は県民や市町村の理解が得られ次第、速やかに条例を制定してほしい。