<社説>大学入学共通テスト 全受験生に公平な制度を

 何よりも入試の公平性が保たれることを最優先しなければならない。

 大学入試センター試験の後継として2020年度から始まる「大学入学共通テスト」に、民間の英語検定試験「TOEIC」が参加しないことになった。
 TOEICは英語の4技能のうち、「聞く・読む」の力を測る「TOEIC L&R」と「話す・書く」を測る「TOEIC S&W」から成る。それぞれ試験日程は異なる。
 二つの試験の実施日を近づけるよう大学入試センターから要請されたという。運営団体は「責任を持って対応を進めることが困難と判断した」と説明している。
 文部科学省が昨年、全国の高校に実施したアンケートでは、20年度に3年生として共通テストの民間検定試験を受ける見通しの生徒のうち、TOEICの受験が想定されていたのは約2%だった。
 このため文科省は、影響は限定的という認識を示している。だが、たとえ2%であっても、当事者にとっては大きな問題にもなり得る。共通テストへの対応を進める予備校などにも一定程度、影響があるだろう。
 共通テストに参加予定の民間検定試験は、実用英語技能検定(英検)、「TOEFL iBT」など7種類(6団体)となった。
 23年度までは大学入試センターが作成するマーク式問題と併存させ、24年度からは民間試験に全面移行する予定になっている。
 それぞれの検定に特徴があり、目的も違う。各試験の成績は、語学力の国際標準規格「CEFR(セファール)」に基づき比較する。6段階評価のどこに該当するかを示す対照表で確認する仕組みだ。
 問題の形式や出題傾向、制度設計が異なる試験で、公平に英語力を測ることができるのだろうか。大いに疑問だ。
 文科省の5月の発表によると、国立大全82校のうち79校が何らかの形で民間検定試験を活用する。一方で、北海道大、東北大、京都工芸繊維大の3校は活用を見送った。住んでいる地域や経済的な事情によって検定試験を受ける機会が左右されること、複数の試験を同列に比べることが問題視されたという。
 試験回数や会場、検定料などにもばらつきがある。家計が苦しい受験生、交通の便が悪い地域の受験生が不利にならない仕組みを構築しなければならない。
 国際社会に適応していくには、英語によるコミュニケーション能力を高めることがますます重要になってくる。民間の検定試験を活用するのは「読む・聞く・書く・話す」の4技能を適切に評価するためだ。
 とはいえ、大学入試においては公平性を担保することが欠かせない。特定の検定試験に一本化して制度を充実させる方が合理的ではないのか。慎重に検討すべきだ。